ポスト平成のキャリア戦略
「ハングリー & ノーブル であれ!」というメッセージ。
News Picksに参加するジャーナリストの佐々木氏とAIなどを手掛ける実業家の塩野氏による対談方式で、幅広いビジネスの話題を取り上げながら、これからのキャリア戦略について語っています。
【作者】
塩野誠、佐々木紀彦
【あらすじ・概要】
キャリア戦略について「昭和モデル」「平成モデル」が崩壊した現在、どのような戦略を取るべきなのかを語る。
日本の特に大企業では、組織内で役に立つスキルは身に着くが個人としてのスキルは得にくい仕組みになっている。
いまだ安定している日本では自立して働くリスクを取る人は少なく、サラリーマン意識でプロフェッショナリズムの薄い働き方をしている。
昭和・平成のモデルが崩壊し「仕事ができる」ことの定義が変わってきている。
人間的な感性が重要になり、また「ハングリーかつノーブル」な人間が求められる。ハングリーでなければ事を成せないし、ノーブルでないと正しく在れない。
欧米ではビルゲイツやザッカーバーグのように教養を背景にした軸があり、ミッションを描ける経営者もいるが、日本の経営者は教養レベルが低いと感じている。
また日本ではリスクを取りチャレンジするメリットが小さく、ハングリーさもない。
今後は起業家も大企業で働く人も「新しい事業を作れる力」や「事業ポートフォリオをマネージする力」が重要になってくるが、日本の企業でそういった力を育成する力はなくなってきている。
また、グローバルイシューに取り組み、臆さずに自分のビジョンを世界に発信できる人間が出てきて欲しい。
あと数年で AI は特別なものではなくなり、生活に溶け込んでくる。AIではグローバルな戦いとなるが、日本企業はすでに出遅れた感がある。ローカルの要素が強い産機・ロボットの技術では目があるのではないかと提言している。
まず20代のうちに自分を一度リセットすべきだとしている。早いうちに再生する経験をしないと後々難しい。
素直に忠告を取り入れつつ自分で咀嚼して取り組めるコーチャブルな人間であることが必要。また勉強など努力に比例する世界だけでなく、恋愛など努力には比例しない世界もあることを受け入れなければならない。
若いうちはモデルとしたい人を「私淑」することも一つの手段として有効。
30代では規模は小さくても「リーダー」を経験することが必要だとする。
自らマネジメントする経験がないと上に立つ人間の考えが理解できない。
リーダーには、倫理的な面も語れるような思想家であることも求められる。
40代になると、現状から離れられない「おじさん」になってしまう人とならない人に分かれる。(ここでいうおじさんは男女を問わない)
上に行くには「理念を語れる」ことと「部下に嫉妬心を持たず育てられる」ことが条件となる。
「意識高い系」をバカにせず、まじめに取り組むことに対して、すかした態度を取らないこと。同時に、白黒つけられないグレーを受け入れる寛容さも必要。
日本は今のところ安全でチャレンジする余裕がある。今のうちに挑戦をしておくべきだとする。
グローバルに戦うためには理念を語れることが必要。そこには教養をベースとしたノーブルさが必要。また英語は必須のスキルとなる。
【感想・考察】
キャリア戦略だけではなく、生き方の問題としても「ハングリーとノーブル」の両立が大切だと思う。
日本の現状を考えると、とりあえずは満ち足りている日常で、チャレンジすることはコスパが悪い。「足りないものを埋めよう」という形でのハングリーさは弱い。
そのこと自体は決して悪いことではないと思う。不足を埋めるハングリーさは「自分のため」でしかない。
それが満たされた後に、内発的な動機付けで、自分の理念やミッションに対してハングリーになれるかが重要になってくるのだろう。
その理念・ミッションはノーブルでなければ力を持てないが、ノーブルさを支える「正しさ」は永遠に定まるものではない。だからこそ、少しでも「正しさ」近づくよう、常に教養と経験を積み上げアップデートしていくことが必要だ。
そして、ミッションに対しては自分の良心に恥じぬレベルで真剣に取り組まなければならない。
最近は、そういう「真面目な青臭さ」が格好いい、という風潮になってきているのを感じる。
【オススメ度】
★★★☆☆