「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書
本と対話するような「能動的な読書」の方法を指南する本です。
主体的に読むことで「地頭力」もつくのでしょうか。
【作者】
西岡壱誠
【あらすじ・概要】
能動的な読書をすることで、以下の力が身に着くとする。
① 文章を正しく理解する「読解力」
② 論理の流れをクリアに把握できる「論理的思考力」
③ 他人にも説明しやすいよう噛み砕く「要約力」
④ 多角的なものの見方を持つための「客観的思考力」
⑤ 知識を他に活かせる「応用力」
読む前の準備
読む前の段階の準備で読書から得られるものが格段に増える。
・装丁読み
本の表紙、帯、著者プロフィールなどから得られる情報を付箋に書き出す。
できるだけ多くの情報を引き出し、本の見返しに付箋を貼る。
・仮説づくり
「自分がその本を読む目的」、「その目的をその本でどう実現するのか」、「自分の現状と目的までの道筋」を付箋に書き出し、見返しに貼る。実際に読んでみて違いがあれば随時修正していく。
取材読み
記者になったつもりで読むと「記憶」も「理解」も深まる
・質問読み
書かれた情報をうのみにせず「その情報は、どういうデータに立脚していて、何の意味があるのか」を吟味しながら読む。
読んでいる最中に「質問」を見つけたら付箋を貼り、本の中で「回答」が出てきたらそこにも付箋を貼り、番号で対応させる。
特に重要だと思う質問と回答はノートに転記しておく。
・追求読み
本の中に回答が用意されていないような「疑問」を持つ。再読するときに「それは本当に正しいのか」という視点で読み直し、本の中で回答が得られない疑問をノートに写し自分で調べてみる。
自分で問いを立て、深く考えることにつながる。
整理読み
著者が伝えたい本筋と、説明のための枝葉末節を区分し、ポイントを抜き出す。
・要約読み
各節、章のまとめ的な部分をさがし、30文字程度の要約文をつくる。最後に本全体のまとめを140字程度で作ってみる。
大体は「最初と最後」、「否定の後」、「問いかけの文」、「装丁読みからの情報」あたりにポイントがある。
・推測読み
話の流れを推測しながら読む。節・章の関係は、多くの場合「例示」、「比較」、「追加」、「抽象化・一般化」の4パターンのどれかになっている。
検証読み
複数の本を並行して読み、意見の偏りを避けより主体的に読める。
・パラレル読み
異なる本に共通点を見つけるのは楽しい。関連性のある2冊の本を同時に読み進め、共通点と相違点を探し、付箋に貼っていく。最期に意見の違いをひとつづく検証していく。
・クロス読み
パラレル読みをより深く行い、相違点で「議論が分かれるポイント」をより具体的に考えていく。自分自身で交差するポイントを見つけることで多面的な見方を育てることができる。
議論読み
インプット→アウトプットという流れで理解が深まる。上記のように付箋を書き出すこともアウトプットだし、誰かに感想を述べるのもアウトプット。
アウトプットしようと考えながら読むことでインプットの質も高まる。
最期は「アウトプット要約」で、一言か一行でその本を言い表す。
本の探し方
本の探し方として以下の5ポイントを上げる。
①ベストセラー
ベストセラーが良書とは限らないが、世の大勢を知ることができる。「毒にも薬にもならない」ということはなく、何らかの議論を喚起する力はある。
②信頼できる人のレコメンデーション
知り合いの薦め、AmazonやSNSなどでのレビュー、また好きな著者が本の中で紹介している書籍など。
③ 古典
時代を超えた古典には、時間流れで古びない本質的な魅力があると考えられる。
④ マイテーマを決める
同内容の本を集中的に読むのが効率的なので、一定時期に渡り「マイテーマ」を定めると良い。大体10冊程度は同じ分野の本を読むことを勧めている。
⑤ 読まず嫌いを避ける
「理系寄り・文系寄り」、「過去志向・未来志向」などのフレームから自分があまり読まない分野の本を知り、時にはあえて選んでみる。
【感想・考察】
私の場合も、読書の記録をアウトプットすることを意識するようになって、能動的な読み方ができるようになってきた感覚はある。
コマ切れ時間で読むことが多く、付箋やノートに書きこむ作業はハードルが高いが、一気に読んだ後にまとめて「疑問点の検証」や「主張の整理と要約」をおこなうだけでも意味はあると思う。
また、極力幅広い本を読みたいと思っているが、結果的には偏ってしまうので、傾向をマッピングして意識的に外れた本を選ぶというのは良いと感じた。
ほぼ全て電子書籍で、複数端末をシンクロしながら使い、数分単位のコマ切れ時間で読書をする人向けの「読書術」があればいいと思う。いつか自分でもまとめてみよう。
【オススメ度】
★★★☆☆