そこにいるのは誰
ホラーと謳っていますが、怖いというより不思議な不気味さのある、
ショートショート的な短編集でした。さらっと読めます。
【作者】
星邑光
【あらすじ・概要】
以下8篇の短編集。数ページのショートショート的な作品から、中程度の長さまで多様。
・そこにいるのは誰
寝付けない夜、夏子は誰もないはずのキッチンから音が聞こえる。喧嘩をして出ていった恋人が帰ってきたのだろうか。
・上品なマダム
上品なマダム派レストランでの食事後に、なかなか会計が来ない不満をボーイにぶつける。ランチタイムから数時間が過ぎ、いつしかディナータイムとなる。
・水蜜桃
大好きな水蜜桃を食べると、父母や友達が涙を流し私を見ている。たかだか水蜜桃で何故泣くほど悲しむのだろう。
・お盆休み
お盆休みの計画を話し合う男たち。実家に帰り両親に会う男、温泉に行く男など、それぞれの予定を語り合う。
・恩人
ヌルヌルとした不気味な生物から逃げ出した私は、灼熱に焼かれ動けなくなる。私を助けてくれた少年に感謝をする。
・のーまくさんまんだー
山田さんは朝昼晩と三度のお経を欠かさない信心深い人だった。のーまくさんまんだーばーざらだんせんだーまーかーろーしゃーだー。
・僕のとうさん
僕は公共の駐輪場が駅から離れているため、郵便局の駐輪場を利用していた。郵便局の警備員が郵便局利用者以外の駐輪を見つけ、執拗に追いかけてくる。
・星に願いを
屋上で星を見上げていたタカシとマリコ。マリコは流星にタカシと永遠に一緒にいられるよう願う。その直後、タカシは思いかけない行動を取り始める。
【感想・考察】
ブラック・ショートショートだった。「僕のとおさん」は「世にも奇妙な物語」的なコミカルな理不尽さと、追い詰められる不気味さがいい感じで面白い。
【オススメ度】
★☆☆☆☆