速さは全てを解決する 『ゼロ秒思考』の仕事術
あけましておめでとうございます。
昨年中はつたない記事を読んでいただき、ありがとうございました。
今年も、様々なジャンルの本を紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
前作の「0秒思考」で「メモに書きだすことで思考力を鍛える」ことを提唱していた作者ですが、本作では仕事のスピードアップに重点を置いて説いています。
ツールの使い方などは、それぞれの状況によりそのまま適用できるものではないのですが、根底にある考え方は参考になります。
【作者】
赤羽雄二
【あらすじ・概要】
日本の会社の生産性が低い理由として、「決定できない経営者、部門責任者」、「部門内外の調整の煩雑さ」、「それに伴う膨大な書類作成」にあると見ている。
このうち、本書では「部門内外の調整」、「膨大な書類作成」を高速化、効率化する方法について論じている。
仕事のスピードが上がらない原因として、以下のような要因を挙げている。
・すぐに始めることができない
・やるべきことに集中できない
・段取りが悪く、後手に回る
・優柔不断
・書類作成に時間がかかる
・メールなどに時間を取られる
・会議が多い
・差し戻しややり直しが多い
そこで、仕事の速さを上げるための原則として以下を挙げる。
・まず全体像を描く
依頼元の要求内容の確認など、成果物の全体を把握してから取り組む。
・丁寧にやりすぎない
本当に価値がある部分にだけ集中的に丁寧にし、全て完璧にしようとしない。
・仕事のツボを抑える
仕事の段取りをイメージし、どのポイントが重要になるか理解しておくこと。
・好循環を作る
意図的にはできないが、メンバーとの信頼関係を築くなど素地を整えておく。
・工夫の仕方を工夫する
工夫をすることに徹底して取り組んでみる。
・前倒しする
ぎりぎりの仕事で全体像を抑えるのは難しい。
・一歩先んじる
半歩でも先んじてて動くことでリーダーシップをとれる。
・二度手間を全力で避ける
全体像を把握することを徹底し、慣れないうちは確認を怠らない。
さらに、思考のスピードを上げる方法として以下を提唱している。
・メモ書き
前作の「0秒思考」にあった、考えをメモで言語化する方法。詳細は前著に。
・仮説思考
「こうではないか」という仮説から始め、検証を繰り返すことで絞り込んでいく考え方。筋の良い仮説を立てるためには、ある程度の前提知識は必要。
・「深堀り」で真実を追求
全てを疑い自分の頭で考える。遠慮はせず「好意」をもって質問する。
・フレームワークの利用
2軸で座標を置く等の、フレームワークを使いこなせるようにしておく。
最終章にスピードアップの具体的なノウハウを説く。いくつか挙げると、
・朝晩30分は情報収集の時間を取る
・通勤で社などで英語の勉強を
・PCは可能な限り職場、自宅、移動中で同じものを使う。
職場や自宅では大型ディスプレイを使うのが効率的。
など。
【感想・考察】
マッキンゼーで経営計画立案のコンサルを手掛けていた著者だけあり、現状の分析がシャープだと感じた。「すぐに仕事に手が付けられない」状況はよくあるが、その内面をここまで言語化し分析していることには驚嘆する。
前作では、「メモ書き」で自分の思考のを言語化し分析しようと提言していたが、「確かに効果があるのだな」と感じた。思考方法の分析はレベルが高い。
一方、具体的なノウハウについては、各人が置かれている環境もあり、誰にでも役立つ話とすることは難しいのだと感じた。それでも、やり方には差があっても、作業の効率化を徹底しようと工夫を続ける姿勢には学ぶところが多い。
【オススメ度】
★★★☆☆