行き先はきくな
結婚式帰りのアラサー女子エリが、いつの間にか増えていくちょっと奇妙な人たちと一緒に、深夜の菊名周辺をさまよい歩くコメディーです。馴染みのある地名でもあって、なんだか自分も一緒に夜の街を散歩している気分になりました。
【作者】
くみた柑
【あらすじ・概要】
エリは友人の結婚式に参加した後、東横線の終電で横浜に住む友人の家に向かうが、勘違いで最寄である菊名の手前の大岡山で下車してしまう。
タクシーで一駅分移動しようとするが、狂言誘拐の身代金受け渡しに巻き込まれ、トランクを奪われ、見知らぬ場所に放置されてしまう。
エリは歩いて菊名に向かおうとするが、 狂言誘拐を教唆した小学生、会社の不渡り回避のため狂言誘拐に乗った男とその弟のタクシードライバー、親切だけど二つのことを同時にこなせない警察官、コンビニ店員の叔父と甥、逃げ出した猫のシャルロッテを追うマダム、午前帰りで家に入れてもらえないサラリーマン、つまらないことで喧嘩をしているカップル、等などに巻き込まれ、なかなかたどり着けない。
【感想・考察】
主人公エリの、関西人風の返しが ひたすら面白くて単純に楽しめる。
エリは「受けた恩は返すべき。その人に直接返すのではなくても、返せる時に返せる人に返せばいい」という母の言葉を受けて、見知らぬ人たちにそれなりに親切にしていった結果、滅茶苦茶な面倒を抱えてしまうが、何だか楽しそうに受け流して、みんなを幸せにしている。暖かくなれる良い話です。
【オススメ度】
★★★☆☆