毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

日本人が海外で最高の仕事をする方法 ― スキルよりも大切なもの

 ソニー社員として9か国の海外赴任を経験した著者の経験を語った本です。「現地文化に敬意を払って、人との繋がりを大事にする」ということを、圧倒的なバイタリティーでこなして成果を上げています。

 自分の経験と重なることもあり、とても参考になる本でした。

 

 

【作者】

 糸木公廣

 

【あらすじ・概要】

 インド、トルコ、ルーマニア、ハンガリー、オランダ、ドイツ、イギリス、ベトナム、韓国と20年で9か国での駐在を経験した著者が、海外で仕事をする日本人へ向けたメッセージ。

 指南本ではあるが教訓の羅列ではなく、各国での出来事をストーリー仕立てで語っている。

 

 主だった話をピックアップすると;

 

・初の海外駐在となるインドでは当初拒絶されたが、インド映画に興味を持ち現地文化を尊重する姿勢を持つと、次第に現地に溶け込んでいった。後日にはインド映画をVideo-CDで発売するための版権交渉にも良い影響があった。

 

・共産主義が終焉したルーマニアでは商品展示などの水準が低かったため、販売現場を見ることを徹底した。社員に対する福利の考えも薄かったため、寒い冬にストーブを配布するなどして、信頼関係を築いていった。

 

・オランダでは汎欧州のシステム統合のプロジェクトに参加したが、ローカルでの問題点を本社に上げることができず失敗した。大きな失敗ではあったが、その後、関係各位に謝罪し事態の収拾を図る姿勢が、現地の人たちの心に届いたのは一つの成果だった。

 

・ベトナムではカラオケで聞いた曲を気に入り、持ち歌として歌うようになった。現地の文化を尊重する立場から、商品アピールを抑え、ベトナムの伝統的な美しさを謳ったコマーシャルを作り、極めて高い評価を得た。

 

・韓国へは、初の日本人社長として縦意識の強い組織の中で上手くやれるかという不安をもって赴任をした。

 ブログで情報を発信したり、上にモノを言いにくい若手の意見をくみ上げるため小規模の飲み会を開催したりして、風通しの良い組織にしていった。またオフィス移転などで若手に権限移譲をしたり、赴任者の後任に現地社員を充てたり、人事的な施策も取っていった。

 結果として組織は活性化し、サムソンやLGなど、強力な競合がいる市場で大幅に成長することができた。

 

メッセージはストーリーの中に埋め込まれているが、ポイントをは著者自身が最終章でまとめている。 

・現地の文化を知り尊重する

・日本の代表ではなく、現地の代表になる

・「違い」について善悪の判断はせず楽しむ

・地域や国で一括りにせず「個」を尊重する

・気に入った現地の文化を一つでも「極めてみる」

・困難な状況でも逃げない姿勢を現地の人たちに見せる

・自分の考え方などを意識的にオープンにする

・自分の発したメッセージと行動の一貫性に注意する

・公式・非公式、社内・社外の多角的コミュニケーションを行う

・グローバル化とローカライズのバランスを取る

・職場環境やワークスタイルなど、人の気持ちに関わる部分を重視する

・権限移譲は大胆かつ慎重に

 

 

【感想・考察】

 「エレクトロニクスの業界で、アジア・欧州の販売会社のマネジメントを行う赴任者」 という立場が自分と重なるので、個別のストーリーにリアリティーを感じ、すっと入ってきた。

 目の付け所や考え方は理解できるし、ある意味当たり前とも思うのだが、それらを圧倒的な行動量でこなしていくバイタリティーには驚かされ、敬意を払わざるを得ない。

 実際には、日本人で固まって日本食だけ食べ るのが楽で、そういう駐在員も多い中、現地も母国も尊重し グローバル・ローカルのバランスを取れる人間になりたいと思う。

 

【オススメ度】

  ★★★☆☆

 

 

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