17歳のソーシャル・ワーク
同じ作者の「その天使、小悪魔系につき」が面白かったので読んでみました。タイトルには「ソーシャル・ワーク」とありますが、学校での謎を解く探偵ものです。ダブル主人公が魅力的でサクッと楽しく読めます。
【作者】
hirokey
【あらすじ・概要】
17歳のソーシャルワーカー「優(すぐる)」と「枢(くるる)」が転校生として学校に潜入し、そこで起きている問題を解決していく。
・Peeping Tom
Sヶ丘学園の女生徒を盗撮したビデオが動画サイトに投稿された。優と枢は双子の兄妹という設定で学園に潜入し犯人捜しを行う。
優は、学園のドローン部、背後から近づいても怪しまれない清掃員、ライバル校への転任が決まりSヶ丘学園の評判を落としたい教師など、可能性がある相手に歯に衣を着せぬ態度で迫りながら容疑者を絞り込んでいく。
優の配慮に欠ける調査に枢はいらだつが、犯人は優の仕込んだ罠にはまっていく。
・Toxic and Hazardous
R陽学園の生徒が不自然なレベルで一斉に成績を上げてきたことで、枢は潜入捜査を行ってきた。別依頼者から話をうけた優もR陽学園に合流する。
枢は急激に成績を上げた生徒と親しくなり情報を得ようとし、優は成績を伸ばせずに苦しむ生徒を演じ網を張る。
・Boy meets
豪邸に住む「お坊ちゃま」の引きこもりを終わらせる依頼を受けた優と枢。彼が通っていた学校に潜入し、美術部での友人や顧問教師の話を聞く。
学校でもいじめなどがあった形跡はなく、以前彼が好んでいたVRゲームのギルドメンバーもみな彼を慕っていた。
VRゲームに解決の糸口を見出した優と枢は、彼と父親との対話を試みる。
【感想・考察】
この作者の作品はタイトルで敬遠していたが、読んでみると実に面白い。
自分の中では「ソーシャルワーク」と「ケアワーク」がごっちゃになっていて「若年介護士の見た社会の不条理」みたいな内容を想像し、手を出しかねていたが、読んでみると小気味のいいミステリだった。
同じ作者の「その天使、小悪魔系につき」も、ごく軽いラノベ感があるタイトルで、あまり興味を持てないでいた。
こういう作品と出会えるのは、Kindle Unlimited のような定額サービスの良さなのだと思う。
【オススメ度】
★★★☆☆