月の案山子
この作者の作品の世界観にはいつも引き込まれます。
虫が重要な工業材料だったり、砂人形に命を吹き込んだりするような、私たちの住む世界と少しずれた世界が、生々しいリアリティーで描かれています。世界観に浸りるのが気持ちよい作品です。
【作者】
赤井五郎
【あらすじ・概要】
ガーベイは「小説家」の職業許可証をもらった帰り道、血まみれのナイフを持った案山子のアルーナに出会う。ガーベイはアルーナのナイフを取り上げて置き、アルーナの家まで送り届けた。
ガーベイが自宅に帰ると、友人のミストが来訪していた。ミストはガーベイの「小説家」就任を祝い、自分も「探偵家」の職業許可をもらったことを告げ、二人で祝杯を挙げる。
ミストは最近起きた女性の殺人事件に関心を示し、ガーベイはアルーナがナイフを持っていたことをかれに告げる。
悲しみ以外の感情を持たない、嘘をつくことができない案山子のアルーナは何故ナイフを持っていたのか。ガーベイとミストは真相を探る。
【感想・考察】
独特な世界に浸りながら、アルーナ達の切ない思いに心を持っていかれる。悲しくて切ない話だけれども、何故か温かい気持ちで読み終えた。この読後感は赤井五郎氏独特のものだと思う。これも大好きな作品。
【オススメ度】
★★★★☆