日本サイバー軍創設提案: すでに日本はサイバー戦争に巻き込まれた
現代の戦争は物理的な武器での戦い以前に、サイバーで勝敗が決しているという話です。苫米地氏というのは認知心理学から宗教・ハッキングの技術まで著作の範囲が広いですね。
【作者】
苫米地英人
【あらすじ・概要】
サイバー世界での戦争が実際に起こっているが、日本は圧倒的に遅れているという。
現実にNSA(アメリカ国家安全保障局)はイランのウラン濃縮プラントのコンピュータにハッキングし、遠心分離機を破壊することで、その後の6ヶ国交渉を有利に進めた。ここで使われた「スタックスネット」はアンチウィルスソフトを乗っ取ることで高位の権限を入手し、完全に支配することができていた。
中国のサイバー攻撃能力は飛躍的に上がっている。人海戦術による大量のAPT(標的型攻撃)と、ゼロデイ・ウィルスの組み合わせ、米国企業などを攻撃している。
また、COTS(Commercial Off-The Shelf)の流れで軍事施設などにも、汎用ハード・ソフトが使われるようになってきて、より攻撃側に有利な状況になっている。外部ネットワークから遮断している場合でも、人的な脆弱性を突く攻撃が行われている。
一方で日本は国も民間もサイバー防衛の必要性が認識されておらず、極めて無防備な状況。スマートグリッドや IoT、公衆無線LANなどリスク要因は増加してきている。
苫米地氏は日本政府が十分なサイバー防衛予算を投入し、本格的なサイバー戦争に備えること、ブラックボックス化された日本独自のOSを開発すべきこと、などと提言している。
【感想・考察】
例えば「お金」のことを考えてみても、印刷された紙幣を見る機会は減り、給与振込をネットバンキングで確認し、クレジットカードからチャージした電子マネーを店頭で使うような流れになってきている。実際にオランダでは現金の使えない店が多い。
こういう状況でネットワークを支配できれば、改ざんされた履歴自体残さないような改ざんができれば、根本的に経済を混乱させることが可能だろう。にもかかわらず、リスク意識が低いというのは間違い無いと思う。
利便性とセキュリティのトレードオフで便利さを取りたいと思う方だが、依存度が高まり不可欠なインフラとなったところで、攻撃を仕掛けられるのは本当に怖い。まずは自分の周りから防衛していこう。
【オススメ度】
★★★☆☆