独立記念日
女性の「独立」を描く24の短編集です。原田マハの作品は狙いすましたように感情を揺さぶってきます。「ここで泣かせたるで!」というところに、まんまとはまります。
【作者】
原田マハ
【あらすじ・概要】
親元を離れおしゃれな街で一人暮らしをしたいOL、死別した夫の記憶を乗り越え、新たな人生を開こうとする女性、母親とのわだかまりを溶かしていくバーテンダーなど、それぞれの女性が自分の過去やわだかまりから独立しようとする。
前の話の登場人物の一人が次の話の主人公になるという形で、それぞれの短編はつながっていて、全体として一編の長編小説ともいえる構成になっている。
【感想・考察】
それぞれの女性がそれぞれの独立を描きながら、連作の形で登場人物同士の緩い繋がりを強調する。独立することは決して一人になることではなく、自分を一人の人間として認識する分、関わる人々も独立した人間だと認め、対等な関係を築くことが必要だということなのだろう。
本書に限らず、原田マハは「感動のさせ方」が上手い。
「押しつけがましくない献身の美しさ」、「苦しいときに寄り添ってくれる人のありがたさ」、「自分の行動に責任を持ってやりきる決意の清々しさ」等、感情を揺さぶる方程式を持っているようだ。
【オススメ度】
★★★☆☆