はさんではさんで
青春文学を募集している「坊ちゃん文学賞」の受賞作品です。弾けるようにキラキラした青春小説ではないのですが、エキセントリックながらもリアルな女子大生「タロウ」にやけに親近感を感じます。
【作者】
甘木つゆこ
【あらすじ・概要】
女子大生の「タロウ」は、幼少時の性犯罪のトラウマから、潔癖で相手に深く踏み込めない「貴之」との関係に苦しむ。
手術用の鉗子で自分の体を挟むという、痕の残らない自傷行為を繰り返すタロウを「トリッキーな女」と呼ぶ上級生の「富田」は、大学に馴染めない彼女をゆっくりと
【感想・考察】
タロウの描写が生々しく面白い。ラノベのような男子視点での理想的女子と比べると、だらしなく、あざとく、不器用で、わがままで、気分屋で、臆病な女子大生だが、何故か親しみやすい安心感がある。
ストーリーとしては盛り上がりもオチもないが、登場人物たちの日常を見るだけでなかなか面白い作品になっている。
【オススメ度】
★★☆☆☆