嘘が見える僕は、素直な君に恋をした
「嘘」をキーにしたライトな恋愛小説でした。 切ない恋で泣かせながら、主人公の成長を描く。軽く読める本ですが、なかなか考えさせられます。
【作者】
桜井美奈
【あらすじ・概要】
「好きになった人」の嘘が見えてしまう藤倉聖は、人と親しくなるのを避け、自分の世界に閉じこもっていた。純粋で素直な転校生の晴夏がクラスに入り、最初はかかわりを避けていた聖も、徐々に魅かれていく。
晴夏や晴夏を大事に思う友人たちに支えられ、少しずつ世界とのつながりを取り戻していく聖は、やがて晴夏の「嘘」が見えるようになってしまう。
【感想・考察】
「嘘が見える」から「嘘が嫌いになる」というのは短絡的すぎるだと思う。別に特殊能力はなくても人の嘘は見えるものだし、それをどう受け止めるかは、受け取る側の人格による。
例えば「誰かを守る為の自己犠牲的な嘘は美しい」と感じる人もいるだろうし、どういう状況でも「真実でぶつかることが誠実」だと考える人もいるだろう。
「自分に対して誠実であること」と「他人に対して優しくあること」を両立させるのが大事だと思う。嘘に逃げる弱さを理解しながら、真実に真摯に向かうこと。難しいけれど。