また、同じ夢を見ていた
「私の幸せはだれのものとも違う」「人生とは自分で書いた物語だ。自分次第でハッピーエンドに書き換えられる」というセリフが沁みます。
この作者の作品では「君の膵臓をたべたい」も良かったのですが、こちらの話も大好きです。
【作者】
住野よる
【あらすじ・概要】
少し賢い小学生の小柳奈ノ花にはクラスメートが馬鹿に見え、上手な絵を描くのにそれを恥じる桐生くんをもどかしく感じていた。
奈ノ花に学校での友達は少ないが、しっぽのちぎれた猫、小説を書く高校生の「南さん」、季節を売る仕事をしている「アバズレさん」、お菓子作りが上手な「おばあさん」たちの友達がいる。
学校で「あなたにとっての幸せとは何か」という課題を出され、友達にヒントを求めていく。
南さんは自分を肯定できずリストカットを繰り返している。自分の書く小説を書来を卑下するが、奈ノ花は南さんの小説を読み深い感銘を受ける。
奈ノ花が授業参観に来られなくなった両親と喧嘩したとき、南さんは「喧嘩をするのはいいが、とにかく必ず仲直りをしてくれ」と必死にお願いをする。奈ノ花は南さんの思いを受け入れ、両親と仲直りをする。
南さんの見つけた幸せは「幸せとは自分がここにいてもいいと認めてもらうこと」
アバズレさんは、奈ノ花が猫を拾ったときに助けてくれ、奈ノ花と友達になった。頭がよくオセロも強いが、人生は苦いものだと思っている。
クラスメートの桐生くんが不登校になり、奈ノ花もクラスでの人間関係に苦しんでいるとき、「他の人もちゃんと考えている、相手の立場になってしてほしいともうことをすればいい」というアドバイスを与える。
アバズレさんの見つけた幸せは「幸せとは誰かのことを真剣に考えられること」
おばあさんは、いつも優しく、おいしいお菓子を作り、奈ノ花と会えたことは「贈り物だ」と喜ぶ。
おばあさんが見つけた幸せは「幸せとは、今私は幸せだ、と言えること」
【感想・考察】
とても暖かい話。前半は小学生少女の初々しい視点が面白く、謎が仕掛けられる中盤からは一気に引き込まれる。傑作。