無人島に生きる十六人
【作者】
須川邦彦
【あらすじ・概要】
無人島で数ヶ月生き延びた16人の実話に基づいた小説。
明治の後半ごろ、南洋漁業の調査船として小笠原諸島に向かった龍睡丸は、強風に帆柱を壊され、海流に乗りハワイまでたどり着く。ハワイで修理をした後日本に戻るが、ミッドウェー島の近くで暗礁に乗り上げ船を壊してしまう。近くの小島までボートで移動した16人は島での生活を始める。
井戸を掘り、見張り台を少しでも高くするために砂山を築き、魚や亀を食料として暮らしながら、実地での勉学に励んだ。
遭難してから5ヶ月後に、島の近くに日本船が通りかかり日本まで送り届けられる。
【感想・考察】
井戸の掘り方や、蒸留水の作り方など無人島サバイバルの技術が書かれているが、船長は何よりも気力が落ちてしまうことを恐れ、「愉快に過ごす」、「規則正しく過ごす」、「無事に帰った後のことを考えて、勉強を怠らない」など、メンタル面でのマネジメントに力を尽くしていた。
優秀な水夫や漁師などが揃っていたこと、魚などの食料が確保しやすく井戸水も得られたなど環境面で幸運だったところもあるが、どう考えても劣悪な環境でも前向きに戦っていくタフさは素晴らしい。