毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

風流夢憚

【作者】

 深沢七郎

 

【あらすじ・概要】

 私の腕時計は寝ている間だけ止まってしまう。

 私が夢の中で渋谷駅でバスを待っていると、各地で日本打倒のための暴動が起きているという。私もバスに乗り込み皇居に赴く。そこでは皇太子や皇太子妃が殺され、皇族が野卑な言葉で罵り合っていた。

 目覚めると腕時計は動いていて、嬉しさに涙する。

 

【感想・考察】

 皇族を侮蔑するような表現を取りながら、一方で革命勢力に対して「左慾(サヨク)」という呼称を使うなど、左右両極を揶揄うコメディーのような作品。

 左右イデオロギー対立への醒めた態度を表明し、表現の自由を謳歌する姿勢を示した作品なのだと思うし、その意義は理解する。

 ただ表現は極めて低俗。特に皇族を殺害する描写は、皇族であるということを差し引いて一般人の殺害描写として見ても低俗で気分が悪い。

 1960年に発表された時には、右翼団体の少年が出版社の社長宅に乗り込んで家政婦を殺害する事件も起こり物議を醸した。

 出版禁止となったこのような作品が電子出版の形で読めることには意義があると感じるが、Prime Reading の無料特典として前面に押し出してくるのは驚き。

 

 

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