毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

羅生門

【作者】

 芥川龍之介

 

【あらすじ・概要】

 平安時代の「今昔物語集」を原典に芥川龍之介が短編小説にした作品。

不況の煽りを受け解雇された下人が「生きるためには盗人となるか、そうすべきではないか」との葛藤を抱え、羅生門の下で雨をしのいでいた。

 夜中に羅生門に遺棄された死体から毛を抜きかつらを作ろうとしていた老女に出会い、彼女の行為を嫌悪する。だが老女が「この女は生前蛇の肉を魚と称して売っていた。それは悪いことだが生きるために仕方なかったと思う。私が死体から髪を抜くのも悪いことかも知れないが、生きるために仕方のないことだ」と語るのを聞き、自分も同じ境遇にいることを強く感じる。

 最後に下人は老女の着物を奪い取り去っていった。

 

【感想・考察】

 どこまでが今昔物語の原典にあるのもので、どこからが芥川の脚色によるものなのか分からないが、「不善を為すべきか為さざるべきか」という葛藤と「善悪は移ろう」という見方が重なる部分は、いつでも不変のテーマなのだろう。

 「善悪は立場による相対的なものだ」という見方ができず自分の正義を押し付ける人と、「全ては相対的なものだ」という諦観から「善を為し不善を為さず」という行動軸を持てない人であれば、どちらが「善」に近いのだろうか。

 

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