Kennie の読書録

毎日1冊本を読み、記録を残したいと思います。

リーダーシップの旅~見えないものを見る~

【作者】

 野田智義、金井壽宏

 

【あらすじ・概要】

 リーダシップを育てるNPOであるISLを主催する野田氏と、神戸大学の教授で経営管理・組織行動理論を研究する金井氏の共著。一定の分量を交代で書く「交換日記」的な体裁。

 印象に残ったのは以下のポイント。

 

・「すごいリーダーシップ」の問題

 優れたリーダーの成果だけをみると「とても及ばない」と感じてしまうが、結果は事後的なもので、誰もがリーダーになりうる資質はあるとする。

 

・リーダーは旅

 リーダーは「他の人に見えない何か」を見つけ、自分の意志を固め歩き始める。Lead the Self から始まる。その背中に人がついてくる Lead the People の段階を経て、最終的には社会を巻き込む Lead the Society まで至る。リーダーシップの出だしはあくまで自分自身の意志。

 

・マネジメントとリーダーシップの違い

 リーダシップは「見えないものを見つけ絵を描き」、「人として周囲を巻き込み」、「周囲・社会と目的をシンクロしていく」のに対し、

 マネジメントは「見えている目的に対し見えている資源を分配し」、「組織として人を動かし」、「アメとムチを使ってモチベートしていく」

 

・リーダーの要素

 単純化はできないが共通要素をあげると「構想力」、「実現力」、「意志力」、「基軸力」の4つが挙げられる。人には見えない絵を描き、それを具体的な設計図にまで落とし込み、不退転の意志を持ち、周囲の状況に惑わされずブレない軸を持つこと。

 

・利己と利他のシンクロナイズ

 当初の目的はごく個人的なものであってもいいが、追い続けていく中で周囲への影響を意識し、周囲のためという利他と自然に結びつくとより高い次元に行ける。最後まで自分だけの利益を追求していると人は着いて来ず、小さな成功に止まってしまう。

 

・ヒットラーはリーダーか

 ヒットラーの資質や実際に行ったことをみると、明確な意志を持ってゲルマン民族の繁栄という絵を描き、強力な実行力である時期まではある時期までは成功していた。そして相当程度人々を巻き込んでいた。「リーダーには高い倫理観が求められる」という三人称の批評ではなく、「自分であればどうするか」と常に自分事として受け止めることが必要。

 

【感想・考察】

 リーダーは特別な資質や環境があって生まれるものではなく、自分が心からやりたいと思えることを見つけ、進んでいくうちに結果的に「なるもの」だとしている。リーダーを育てる立場からの発言なので、ハードルを低く置こうとしているのだろうが、確かに最初から「リーダーになる」ことを目的としてリーダーになった人よりも、何かを成し遂げようとして結果として人々をリードしていた人の方が大きな功績を残しているのかもしれない。

 「利己から始まって利他とシンクロしていく」という感覚は自分自身まだ掴めないが、電気などをみても「金儲け」から入っても「周囲に良い影響を与えたい」という思いに繋がっていく例は枚挙に遑がない。「信頼を重ねることで動きやすくなる」という手段だけではなく、目的の時点で利己と利他が融合するというのが理想なのか。修養が必要だなと思わされた。