人生の勝算
【作者】
前田裕二
【あらすじ・概要】
外資系投資銀行からDeNAを経て、SHOWROOMというストリーミングサービスを立ち上げた著者による「人「生の勝算」を得る心得の解説。
著者は幼くして両親を亡くしたが、小学生のころからギターの弾き語りで「お金を稼ぐ」ことの本質は「相手の立場に立つ」ことにある見抜く。先天的な資質や境遇ではなく後天的な努力でよりよく生きることができる」ことを証明するためお金にこだわり、投資銀行でも圧倒的な行動量で活躍、ニューヨークに渡り外国人の中でも成果を出す。慕っていた人の訃報を受け、自分がやるべきことを考え直し、」自ら起業することを目指して帰国する。経営の経験がないままビジネスを立ち上げる厳しさを説かれ、まずはDeNAに入社しビジネス立ち上げの経験を積んでから、少年期に弾き語りでお金を稼いだ経験も活かしネットワーク上で演者がバーチャルな投げ銭をもらえる SHOWROOMというストリーミングサービスを立ち上げる。
以上のように著者の経歴が大部分だが、その中でも本質に迫る言葉が多い。
・試行錯誤による改善を回していく
ギターの弾き語りでも客の反応を見て「オリジナルからコピーへ」、「住民の所得レベルが高い地区で演奏する」、「リクエストを受け、時間をかけて応える」など次々と手を打ち、感触を得ることでモチベーションを高める。
・「モノ」から「ヒト」へ
ものが飽和してきた世の中で「モノ」から「自分が参加するストーリー」に価値が移行している。
・「絆」が価値を生む
場末のスナックを例に挙げ、「余白が多い」、「常連がいる」、「クローズした空間」、「共通言語がある」、「共通の敵がある」、「共通の目的がある」等が絆が強固に継続する条件だとしている。
・モチベーションはどのようなテクニックにも勝る
どのような技術を持っていても、圧倒的な「熱量」、「行動量」には敵わない。
・ぶれない軸を持つ
著者が熱量を失わずに頑張り続けることができたのは「恵まれない状況からでも努力で巻き返すことができる」ことを証明すべく「圧倒的にお金を稼ぎたい」という強い思いがあったから。もちろんお金稼ぎが唯一の価値ではなく「徹底的に家族の時間を優先する」兄にも敬意を払っている。どのような軸を持つかはその人次第だが、軸を持たない人は不幸だと考えている。
【感想・考察】
著者が圧倒的な熱量をもって人生に真正面から取り組んでいる姿勢には尊敬を覚える。こういう「暑苦しい」人の話を聞くことで、モチベーションを高めることができる。
「人生は目的を達成するためのステージだ」という考え方は嫌いなのだが、より良く生きるために今のステージを超えようと思うなら、そこからの離脱のために圧倒的な熱量・行動量あ必要なのだと思う。
ちょっと”SHOWROOM”を見てみたが、「マイナーアイドルとネットで交流ができる」ことが強みになっているようだ。本書を読んだ後だと「試行錯誤の積み重ねによるデザイン」、「熱気を前面に出した構成」、「絆のマネタイズ」などの仕掛けがよく理解できる。