Kennie の読書録

毎日本を読んで、面白い本を紹介したいと思います。

マツリカ・マハリタ

【作者】

 

【あらすじ・概要】

 前作、マツリカ・マジョリカ に続くシリーズ2作目。前作で出会った男子高校生の柴山と、廃墟ビルに住む魔女のようなマツリカが、学校で起こる謎を解く。

 

1. 落英インフェリア

 学校に「一年生のりかこさん」という怪談が伝わる。一年生の最初の頃クラスで話の輪の中に入っているが、クラスメートがお互いを認識する時期になるといつのまにか居なくなる。誰かに聞いても彼女のことを知らず、学校の記録にも残っていない。

 柴山のクラスメート小西さんは何かにつけ柴山を構ってくれる。ある日写真部に見学に来ていた「松本まりか」が入部直前で小西さんの前から逃げ出し、廊下で姿を消した。1年の生徒も先生も「松本まりか」という生徒はいないと言う。

 彼女はどこへ消えたのか。

 

2. 心霊ディテクティブ

 写真部の小西が撮影したフィルムを現像に出したところネガが「全感光」で真っ黒になっていた。撮影を終えてからフィルムを巻き戻すまで細工をする時間はなかった。現像のミスでもカメラの故障でも全体が真っ黒になることはまずありえない。

 誰が何の目的で小西のフィルムを感光させたのか。柴山がマツリカを撮った写真も感光し見れなくなっていた。

 

3. 墜落インビジブル

 「一年生のりかこさん」の元になった「松本梨香子」は自殺したと伝えられている。りかこさんが飛び降りた場所で「風を感じていた」と言う村木さんと出会う。

 「怪奇絶叫殺人ロッカー」の謎を調べるためロッカー中に隠れていた柴山は、村木さんと、「りかこさん」が話している声を聞く。ロッカーの隙間から出入り口を見ていたが、「りかこさん」は出入り口を通ることなく部屋から消えていた。

 「りかこさん」は誰なのか。どうやって柴山の目に留まらず教室から消えたのか。

 

4. お別れソリチュード

 「お前はもう私がいなくても生きていけるわね」といって柴山の前から消えたマツリカ。彼女が残した生徒手帳にあったマツリカの本名は。。

 

【感想・考察】

 常に自分の居場所がないと感じている柴山だが、実際には周囲は彼に対して普通に接しむしろ積極的に関わってきている。柴山自身もそれを感じてはいるが、それでも彼が自己肯定感を持てないのは、慕っていた姉が「自分を頼りにすることなく、何も言わずに、死んでしまったから」なのだろう。

 誰にでも放っておいて欲しいことはある。「聞くことは相手の心に踏み込むことで避けるべき」という考えは自然だ。それでもそこから一歩踏み出し「何もできないかもしれないけれど、あなたの話を聞きたい」と言う勇気を示し、成長を感じさせる。

 また「自分は何の資格があって彼らと一緒にいるのだろう」と考え、周囲から身を引いていたが「自分が彼らと一緒に居たいから」ということで十分一緒にいる理由になると気づく。

 マツリカが「お前はもう私が居なくても生きていけるね」と言ったのは、オチへ繋がる伏線でもあるけれど、柴山が心に負った傷から回復し、人との繋がりを作り始めたのを見ての本音だったのかもしれない。あらためて柴山の前に戻ってきたマツリカは彼の背中を押すサディステックなアドバイザから、やや対等なパートナーの立場になって居たようにも見える。

 まあ、ドSとドMの掛け合いは変わらないのだろうけれど。

 

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