毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

蜜蜂と遠雷

【作者】

 恩田陸

 

【あらすじ・概要】

 芳ヶ江国際ピアノコンクールで繰り広げられる、出場者たちのドラマ。

養蜂家の父と放浪生活を送りながら巨匠に見出され破天荒な才能を開花させた「風間塵」、幼少の頃から音楽の才能を認められていたが、家族の死をきっかけに音楽から離れていた「栄伝亜夜」、名門の音楽学校で著名な教師に師事するマサル-カルロス、楽器メーカに勤めながら音楽家への思いが捨てられず、制限年齢一杯でチャレンジする「高島明石」など、それぞれ背景の異なる出演者たちが、それぞれの思い、葛藤、苦しみを背負いながら、自らの音楽と対峙していく。

 

【感想・考察】

 圧倒的。

 長い本が好きでは無いこと、ピアノコンテストという題材自体が退屈な気がしていて、「本屋大賞」「直木賞」など評判にはなっていたが読む気がしなかった。

 が、読んで見て圧倒的に引き込まれた。

 例えるならバトル漫画のようなスピード感と爽快感だろうか。冒頭で「塵」がいきなりスカウターを振り切るようなパワーを見せたり、「亜夜」の眠っていた能力が「マサル」や「塵」との邂逅で「覚醒」したりする。「才能」の有無が決定的要素となりがちな音楽の世界で、サラリーマンとして日々の生活を送りつつ地道に鍛錬を重ね圧倒的な才能と競り合っていく「明石」は、サイヤ人だらけの戦場で渋い活躍を見せる地球人ヤムチャのような立位置か。

 音楽的にも「言葉で音楽をここまで表現できるのだ」と感嘆した。主人公たちは様々な思いを音楽に乗せていくが、この作者は音楽の心を言葉に落とし込んでいく。

 最初の方で音楽家と小説家の対話を挟んでいたが、「音楽にはこれだけ人の心を動かす力がある、私は文章で動かしてみせる」という決意表明だったのだろうか。

 

素晴らしい作品。

 

 

当ブログは、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムであ「Amazonアソシエイト・プログラム」に参加しています。