一生太らない魔法の食欲鎮静術
【作者】
松尾伊津香
【あらすじ・概要】
無理なく健康的な体系を維持するための「食欲鎮静術」を謳う本。
ポイントは食べ物をよく味わう「食事瞑想」を通じて「量ではなく質で満足する」体にしていくこと。
提唱しているのは以下の二点。
- 舌先に食べ物を当てて十分味わう
- 食べた後の胃の暖かさ、重さを味わう
舌先は味覚センサーが集中しているので、食べ物を舌先に意識して充てるだけでも味わいが深くなる。
舌先に食べ物を当てる動作は必然的に噛む回数を増やす。胃は温度や重量で満足感を感じるので、その感覚もよく味わう。本当の食欲を見極め、必要な量だけを食べるようにする。
「食べてはいけないもの」は特に指定せず、「食べ物の原型に近いものがどちらかといえば望ましい」というざっくりした見解。むしろ「不健康な食材」と認識たものを全く食べられなくなる「オルトレキシア」と呼ばれる症状が近年大きな問題になってきているので、食べ物の種類からのアプローチは避けている。
また、ダイエットに取り組むときに、自分の現状を認識して取り組むことが必要。基本的には「食べ物」への取り組みから入り「運動」は次のステップとする。また現状で過食や不摂生が続いている「マイナス」の状態であれば、それを標準的な「ゼロ」の状態に持っていくことを目指す。ファスティングや玄米食など「プラス」に持っていくような努力を取り入れると成功しにくい。
【感想・考察】
作者は拒食症や過食嘔吐などの摂食障害の患者と接しているので、食に対してアドバイスをする難しさを理解している。やることとしては「舌先に食べ物を当てる」という簡単な行為だけなので、まず試してみようという気にはなる。
ダイエット法が数多く出ている分、その理屈の流れはテンプレート化してきている。
・従来のダイエット法は「意志力を使い継続できない」とか、「論理的におかしい」と問題提起。
・この方法は「記録するだけ!」とか、「糖質を制限するだけで肉や魚はたくさん食べられる!」などと簡単に取り組め、習慣化しやすいことを強調。
・ただ後半ではすべきことが徐々に増えていく。
その中では、心の面からアプローチし「質の良い食べ物を適量取る」という方向性は理解しやすい。
様々な方法から自分に合う部分をバランスよく組み合わせ、極端に振れないようにするのが最善なのだろう。