毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

シークレットエージェント: 第二次世界大戦、アメリカの偉大なるスパイを追う

【作者】

 スティーブン・トルティー

 

【あらすじ・概要】

 第二次世界大戦の時に、連合国側のスパイとしてドイツに入り込み活躍した「エリック・エリクソン」の伝記。

 エリックはアメリカで生まれ育ち、スエーデンに移住した。ドイツ相手に石油を売り大きな利益を上げていたが、ヨーロッパ戦線で戦った兄から「弟が独裁者に協力して利益を上げていることが屈辱だ」との手紙を受け苦悩する。エリックはドイツ相手の商売を止めるのではなく、連合国のスパイとして貢献する道を選ぶ。

 当時のドイツではヒットラーが軍備の技術レベルを急速に上げたが、それだけに石油の重要性が増していた。ドイツは石油確保のため周辺国への侵攻を重ねていたが、徐々に連合国による包囲が強まった。そのためドイツでは「石炭を原料に液体燃料を合成する合成石油」の技術を他国に先駆け実用化し、国内に合成石油工場を建築していた。

 エリックは石油商人としての立場を利用し、ドイツ内部の情報を収集し、合成石油工場の所在地を連合国軍に伝えることを使命とした。ドイツの上層部に入り込むためナチスを賞賛する立場を周囲に見せた。中立国であるスエーデンでは周囲から孤立し、妻は精神的に追い詰められノイローゼになってしまった。

 最終的にはナチス親衛隊の頭領であるヒムラーから直々にドイツ国内での自由な交通や、石油合成工場への立ち入りも認められた。その一方で同じ連合国の諜報員としてドイツに潜入していてエリックと親しい関係となった、アンネ−マリアの処刑を目の前で見せられるなど揺さぶりもかけられ、終始強烈なプレッシャーと戦っていた。

 エリックから伝えられた工場の位置情報は正確で、連合国軍の爆撃は大きな成果を上げた。ドイツ軍はフランス等占領地域に配備していた軍備に燃料を供給することができず、戦闘機・戦車を放棄して撤退するような状況となり、最終的な敗北に繋がった。

 

【感想・考察】

 19世紀末ごろの帝国主義の時期は、資本主義の拡大による市場と労働力の確保が戦争の主因だったが、20世紀に入り生産設備や軍備の機械化が高度になることで、エネルギー争奪戦としての戦争が増えた。同時期に日本も石油の確保のため東南アジアへ侵攻し、ドイツと同じような結果を迎えている。21世紀に入ってからの国際紛争も大部分はエネルギー問題が背景にあるように思われる。アメリカもエネルギー供給で重要な意味を持つ中東では派手な軍事行動をしても、エネルギーを持たない北朝鮮に対しては、自国の安全の脅威となるギリギリまで放置を続けている。エネルギーの重要さを改めて感じた。

 

 

当ブログは、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムであ「Amazonアソシエイト・プログラム」に参加しています。