プロカウンセラーの共感の技術
【作者】
杉原保史
【あらすじ・概要】
臨床心理士であり教育学博士でもある著者による「共感」についての本。共感を深めることで人間関係を改善していくための技術を紹介している。
いくつかのポイントをピックアップする。
・まずは自分の視点を外れ、相手の立場に立つことから始まる。
・善悪や真偽の判断をせずに、「相手の考えをそのまま受け入れる」ことが必要。
・「共感され理解されている」と感じるだけでも相手は救われるし、行動の変化につながることもある。
・「寂しいんですか?」と「寂しいのですね」は大きく違う。
前者は「寂しいのだろうな」と思いつつ自信がないので確認しているが、後者は自信がなくても相手の懐に勇気をもって踏み込んだ言葉。
・言葉にされないことに共感する。
重要なことこそ言葉にしにくいものだが、語られることの中に秒な形で現れる。特徴的な言葉の選び方、不自然な力み等から見える影に言葉を与える。
・心の浅い層は明確だが、深い層は曖昧になっている。
「理性」で判断したものは、明確に見えるが、感情や欲求などもともと輪郭が不明確で曖昧。そこに注意を向け言語化することで明確化していく。
・動物の調教の名人は、「罰」はあまり使わず、「ほめる」ことを中心として育てている。
・家族など関係が深く、愛憎の感情が強い間柄はかえって共感することが難しい。
【感想・考察】
力を抜いて相手の話をそのまま聞くのは難しい。どうしても「自分はこう思う」とか「それは間違っている」というような価値判断が入ってきてしまう。
まずは相手の話を価値判断せずに受け止め、相手が言葉にできない部分に思いを馳せ、共感していることを勇気をもって示すことが、よりよい関係構築に必要なのだと思う。