新装版 話を聞かない男、地図が読めない女
【作者】
アラン・ビーズ、 バーバラ・ビーズ
【あらすじ・概要】
男女の脳は胎児の時期に浴びた性ホルモンの影響で、先天的にプログラムされている部分がある。
影響の程度により、男性的・女性的な特徴が強く出る人と中間的な人が出てくるが、全体的な傾向として「男女の脳に違いはある」としている。
男性脳の特徴として、
・空間認識が得意。逆に周辺視野は狭く細かいことに気が付けない。
・マルチタスクはできない。考えるときは集中するために話したくない。
・問題を解決して目的を達成することを目指す。
女性脳の特徴として、
・周辺視野が広く細かいことに気が付く、色についての感度も高いが、三次元的な空間認識は苦手。
・左右の脳を繋ぐ脳梁が太く、マルチタスクに向く。話しながら考え事ができる。
・良好な人間関係を築くことを目指す。
というようなことが挙げられている。
また、性的マイノリティについてもホルモンと脳の関係から説明されており、例えば胎児の時期に男性ホルモンであるテストステロンを浴びる量が少ないと、器質的には男性であっても脳は女性的な特徴を持つことになる。性的マイノリティは後天的な選択であることもあるが、先天的な影響による部分もあるとしている。
【感想・考察】
男女の違いの解説は、傾向としてはその通りだと思うが、ちょっとステレオタイプに過ぎるとは思う。
女性の会話は「解決を求めるのではなく、ただ話を聞いて受けれて欲しいのだ」という傾向はあるかもしれないが、本気で解決を求めて議論をしてくる女性もいる。そういう人に対して、相手が女性だから「解決策を示さずに話を受け入れた」というのは失礼になるだろう。
男女の違いの傾向は確実にあり、それを認識することで良くなることもあるが、究極的には個々の相手をよく見て「個人対個人」を相互尊重することが必要だ。「日本人だから」とか「最近の若者は」とか、大雑把なカテゴライズは便利だが、個人ごとの差の方がよっぽど大きく影響するし、相手をよく見ることの妨げになる弊害もある。
一方で性的マイノリティが「先天的な影響によるもの」だということが理解されるのは良いことだ。「後天的な選択」だとすると社会や教育などを含め偏見を持たれやすいが、肌の色などと同じ先天的なものに対しては理解されやすいのだと思う。