Kennie の読書録

毎日1冊本を読み、記録を残したいと思います。

本日は、お日柄もよく

【作者】

 原田マハ

 

【あらすじ・概要】

 幼馴染である広告代理店勤務の今川厚志の結婚式に参席した二宮この葉。久遠久美のスピーチに心奪われ涙する。この葉は同僚の結婚式のスピーチのため久遠にスピーチの作り方を教わる。

 同僚の結婚式でのスピーチが参列者の心を揺さぶり、この葉も「言葉の力」を理解し始める。厚志のライバルでもある 広告代理店勤務の 和田日間足の目にとまり、この葉が務める会社のブランド戦略プロジェクトに抜擢される。

 今川厚志の父は政治家であり、野党第一党の党首である小山田のパートナーでもあったが、厚志が子供の頃に亡くなっている。厚志は父への反発もあり政治の世界からは距離を置いていたが、政権交代を狙う選挙で小山田は厚志に立候補を依頼する。

 この葉はスピーチライターとして厚志を支える決意をし、選挙戦をともに戦い抜く。

 

【感想・考察】

 原田マハの著作は初めて読んだが、とても読みやすく心にすっと馴染んでくる。かつて好きでよく読んでいた原田宗典の妹だということも初めて知ったが、気取らず読みやすい文体はどこか似通っている感じもした。

 主人公 この葉 と 厚志 の恋愛物語であり、政治の裏で動くブランディング戦略を語る物語であると同時に、「スピーチの心得」を伝える指南書としての性格もある。ただそれ以上に「言葉の力」について圧倒された。

 冒頭の久遠による結婚式の祝辞や、小山田氏の盟友への弔辞など、あざとさを感じるくらいに計算されているが、静かな導入から具体的なエピソードで共感を呼び、相手の感情を揺さぶるようなクライマックスを迎える。やはり「プロの小説家」が言葉を操る力は圧倒的で驚嘆せざるを得ない。

 言葉の力について考えさせられる作品だった。