Kennie の読書録

毎日1冊本を読み、記録を残したいと思います。

知っておきたい日本の神話

【作者】

 瓜生中

 

【あらすじ・概要】

 日本の神話についての概説的な本。「古事記」、「日本書紀」にある神話をもとに登場人物(神様)にフォーカスを当てた説明となっている。書かれた時代の政治的な意図などにも踏み込まれている。

 

 天之御中主神による天地創造の物語、日本列島を作り上げたイザナミとイザナキの物語 などをわかりやすく説明。

 その後、イザナミ、イザナキの子供であるアマテラス、ツクヨミ、スサノオの高天原での物語に移り、初代の現人神である神武天皇の系譜まで説明が続く。

 

 「古事記」、「日本書紀」が書かれた時期には、「大和朝廷」の権力の正当性を安保するために「神話」が必要だったという見解。もともとはヤオロズの神として各地の氏神だったものを、天皇を頂上とする神話体系に組み込むため、相当苦戦していることは見受けられる。

 

【感想・考察】

 第二次世界大戦の終息までの数十年間に天皇の権威を高め、軍の統帥権に正当性を持たせるため、「神話」が利用された反動もあって、戦後に教育の現場で日本の「神話」が教えらることはない。断片的な話は聞いたことがあっても体系的に理解している人は少ないのだろう。

 「成果を主張すると災いを招く」ような描写は、日本人の謙虚さに繋がっていると思われるし、サメを騙した因幡の素兎は罰を受けるが、可哀想な状態で謝罪すると許されるというような善悪感、力を持った神様でも必ずしも品行方正ということはなく、力を使って不義不正をなすこともあるという権力者への視線など、古くから繋がっている部分は多々あると感じた。

 「民族として」のアイデンティティーは、「個人の特性」のブレに飲み込まれてしまう程度のものだと考えているが、社会の雰囲気をよくしていくためには、共通意識の源泉を見ることも必要なのだと思う。