毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

ケトン体が人類を救う〜糖質制限でなぜ健康になるのか〜

【作者】

 宗田哲男

 

【あらすじ・概要】

 産婦人科医である著者が妊婦糖尿病の症例などを通し、現行のカロリー制限・イスリン投与という対応に反対を示す。

 ポイントは

・糖質だけが血糖値を上げ、タンパク質や脂質は直接的には血糖値を上げない、

・カロリーが高い食品でも糖質を含まなければ血糖値を上げることはない。

・糖尿病に悪影響を与えるのは、血糖値工場的な高さとの急激な上下。

・血糖値の上昇、インスリンの分泌により脂肪が蓄積される。

・糖尿病の対策、ダイエットのためにも、糖質の代わりに資質を取ることを推奨。 

・糖質を使わず資質代謝をしたときの副産物であるケトン体は、ケトアシドーシスを引き起こし血液を酸性に傾けることから危険視されているが、ケトン体自体がアシドーシスの引き金となることはなく、血糖の高さが引き起こしている。

・妊婦の絨毛や胎盤には高濃度のケトン体が存在するし、胎児・新生児もケトン体をエネルギーとして生きている。

・ケトン体の基準値は数十レベルだが、血糖管理ができているレバ、ケトン体は数千になっても特に問題ないことが確認されている。

・脳はケトン体を利用できる。てんかんやアルツハイマーの治療に、ブドウ糖より効率の良いエネルギーとしてケトン体が使われ始めている。

・がん細胞はケトン体を利用できず糖質のみをエネルギーとする。糖質制限で等を枯渇状態にした上で、糖と組成の近いビタミンCを高濃度で摂取することで、がん細胞がビタミンCを取り込み死滅することが確認されており、糖質制限・高濃度ビタミンCの組みわせはがん治療にも有効。

 

【感想・考察】

 糖質制限はかなり定着してきた感がある。

 著者は医薬品業界や農業団体との利権関係から、日本の医学会が糖質制限の有効性を認められないことに対し強い憤りを覚えているが、医療機関が推奨しなくても草の根に広がり始めている。

 糖質制限がここまで広がったのは原因の一つは、私自身の経験でもあるが糖質を控えた食事とすることで、簡単に体重は落とせるし、頭と体がスッキリして明らかに快調と感じられるくらい効果があることがあると思われる。

 もう一つは、医学会が厚生労働省など公的な期間でなくても、ネットなどで個人レベルが情報を発信できるようになったことも原因だろう。

 

 一方で、自分自身の例では糖質制限は効果があったが、極端な方向に振っていくと長期的には弊害が出る可能性もあると考えており、糖質制限推進で発言力を持った人には慎重な態度を求めたいという思いもある。

・人類数百万年の歴史の中で、精製された炭水化物を取るようになったのは100年前後で、人間は未だ肉食に適した体だというのは正しいと思う。ただ腸の細菌などは比較的短期で変化する。肉食中心で大腸ガンが増加するなどの影響もあり考慮の必要がある。

・糖質を減らし多分、肉や脂をがっつり食べれる人には良いが、消化器官の衰えた年配者が脂を大量に摂るのは難しこともあり、糖質制限がカロリー不足を招きかねない。そうなると筋力の衰えなども懸念される。適用される人を限定するか、消化器官が弱っていても摂取しやすい食品を推奨するなどの対策が必要もある。

・カロリーに対する生産エネルギーコストは、糖質よりも脂質・タンパク質の方が高い。世界で糖質制限が広がったときに、食料コストが上がることも懸念される。貧富の差が健康状態の差に結びつく程度がさらに極端になるのではないか。

 

などなど、懸念する点も多い。自分自身も含め、利益を受ける人が多いのは間違い無いと思うが、全体を見る視点を失わずに推進すべきだと思う。

 

当ブログは、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムであ「Amazonアソシエイト・プログラム」に参加しています。