幻覚少女
【作者】
根本 総一郎
【あらすじ・概要】
大学生の創は、自殺の名所と呼ばれる山羊山で幽霊、弥生と出会う。30年前にトンネルの落盤事故で死んだ弥生は、「私利のためトンネル工事費を抑えさせた」と噂された政治家 久我への怨念を果たすため、地縛霊となりこの世に漂っていた。弥生は創に久我への復讐を手伝うように持ちかける。実は以前から創の家にいたもう一人の幽霊、映画好き幼女である 朱美も姿を現し幽霊たちとの暮らしが始まる。創は、弥生の復讐を手伝う中で失っていた生きる力を取り戻す。
創が30年前の事故を調べていく中で、弥生の信じているのとは違う事実が浮かび上がってくる。
【感想・考察】
直球で人の心を揺さぶりに来る。読むのは3度目だがまた涙腺が緩んでしまった。人が人に与える影響。親の子供への想い、子の親への想い。死があるからこそ輝く正の重さ。「人の死で感情を揺さぶるストーリーはチープだ」いう言葉をどこかで聞いたが、例えチープでも、まっすぐなストーリーは強く心を動かす。こういう作品を読みたい。