「話す」「書く」「聞く」能力が仕事を変える! 伝える力
【作者】
池上 彰
【あらすじ・概要】
例えば「日銀とは何ですか」という説明を子供にするためには、教科書的な説明ではなく、内容を深く理解しよく噛み砕かないと伝えることができない。池上氏の「週刊こどもニュース」での経験を元に説明している。
まずは自分が「知らない」ということを認識し、謙虚に学ぼうとすることが大事。謙虚に学ぶ姿勢がないと成長が止まってしまう。
人に話す時には、「ツカミ」が大事。どうやって興味を持ってもらうか、小説や映画、テレビなどをみて学ぶのも効果的。また聞く側は「ずるい」とか「羨ましい」といった感情を持っていることも認識する必要がある。相手を立てたり、時には謝罪をしたり、何を言い何を言わないべきなのか判断するのはビジネスでも重要な能力。
わかりやすい文章を書くためには、特にビジネス文書であればフォーマットを利用し、5W1Hを基準にする。演繹法と帰納法であれば帰納法の方が独断にならず伝わりやすいが、ある程度は演繹的に目処をつけ、帰納的に確認していく緩やかな演繹法を進めている。カタカナ語は極力日本語に置き換えた方が伝わりやすい。何々「的」や何々「性」などは抽象的すぎて自分でも具体的イメージなしで使ってしまうことがあり、相手に伝わらない。順接の接続詞「それから」とか「そして」は極力使わない。順接の「が」も論理を混乱させやすいので注意する。「ところで」や「さて」などの話題転換も論理を飛躍させないように必要最低限にすべき。
文書能力向上のためには、美しい文章を書き写すのも効果的。誰かに読んでもらい指摘を受けたり、一人で客観的に見直し一人ツッコミをするのも有効。小説などのインプットも重要。
【感想・考察】
池上氏の書籍は分かりやすく書かれているので、どのような工夫をしているのか興味があった。文書や話し方のテクニックもあるが、最も大事なのは「自分が本当に理解しているか」を見つめ直し、分かっていなことがあれば具体的に説明できるまで謙虚に学ぶ、という「姿勢」そのものなのだ。抽象的な表現は一見スマートだが、「難しいことを易しく」伝えるのは本当の知性なのだと思う。