Kennie の読書録

毎日1冊本を読み、記録を残したいと思います。

脱水少女

【作者】

 根本 聡一郎

 

【あらすじ・概要】

 「人魚が現れた時に大きな災厄が起こる」という伝説が残る栗生町で、ごく普通の生活を送っていた3人の高校生、庸介、はづき、石丸が主人公。ある日庸介は熱中症で倒れた少女、瑠奈を助けたが、彼女は忽然と姿を消してしまう。再び姿を現した少女は、栗生町を待ち受けている運命や、3人のはるかな因果を庸介に伝え大きく驚愕させる。庸介たちは町を救い、3人の悲しい因果を振り切るために奔走していく。

 

【感想・考察】

 非常に美しい話。田舎の高校生の日常と、タイムリープによって引き起こされる切ない想いと、災厄と戦う緊張感が「君の名は」っぽいのだけれど、私にとってはこちらの作品の方がシンプルに心を揺さぶられた。それぞれのキャラクターの生きる力強さが伝わってくる。石丸が「歴史は正義を押し付けるので嫌い」だが、「自分には正しいと何かを正しいと確信できてしまう才能があり、ある意味それは弱さでもある」と語っているのは興味深い。何かを成し遂げる人は自分の進む道を無条件で信じる「強さ」がいるのだろうし、客観的に選択肢を提示できる「弱さ」を持ったパートナーも必要とするのだろう。 短い話だが単純に面白い。