毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

座右の諭吉 ~才能より決断~

【作者】

 齋藤

【あらすじ・概要】

 著者が敬愛するという「福沢諭吉」の精神を、その著作などから探っていく本。

福沢諭吉は「カラリとした」精神を持っており、人間関係に執着することが無い。自分の「学ぶ能力」に自信を持ち、日本を欧米列強と伍す国にするという「使命感」を持っていたため、「些事にこだわっている暇はない」という考えだった。

 権力者に取り入るし、偽の手紙を活用する等、コズルイところもあるが、公への貢献が全面に出て私利私欲は見えないため、清廉潔白な印象を残している。

 江戸時代から続いた階級制度には反感を覚える一方、自分の目的のためには権力を最大限活用することもあり、反権力にもこだわらない。オランダ語を必死で習得したが、英語が主流だと見定めたら躊躇なく切り替える決断力もある。学んでも実際に使わなければ意味がないし、時局を見て行動しないと成果につながらないとする。中国古典の造詣も深いが、時間感覚が薄い学問は趣味の範疇だと切り捨て、欧米の実学を吸収することに力を入れている。

 「根気」のある人物で、やると決めたことはやり抜くが、その根底には「使命感」と並んで、それを支える丈夫な体を維持することもあり、健康を強く意識していた。日常の雑事で体を鍛えるという意識だった。

 

【感想・考察】

 「福沢諭吉」という人物について、具体的なイメージはあまりなかったが、本書で生々しい福沢象が見えてきた。非常に強い目的意識を持ち、その前には人間関係も、お金稼ぎも、衣食住も全て些細なことであり、捉われている暇はないという姿勢が清々しい。福沢自身が自由な精神の持ち主だったのか、「江戸時代の身分制度からの独立」、「欧米列強の抑圧からの独立」など、束縛から解放され自分で自分の生き方を決めることを重視している部分には共感を覚える。

 本書の著者である齋藤孝氏は、「福沢諭吉」の偉業だけを語るのではなく、狡さや偏屈さも含め幅広い視点から描いていて、人物に共感しやすい構成となっている。また、音読を推奨するなど、学習の身体性に着目しているだけあって、福沢やその世代の人々に「根気」があったことを、体力とブレない芯の強さに見出していたのは面白い視点。

福沢諭吉の原著を読みたいと思わせる本だった。

 

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