未来を変える選択 未来授業〜明日の日本人たちへ
【作者】
養老 孟司
【あらすじ・概要】
「未来授業」というラジオ番組で放送された講義を書籍化したもの。「バカの壁」などのベストセラーを持つ解剖学者である養老氏の、若者世代に向けた講義録。
印象に残った点は以下の通り。
・「好きな仕事と仕事を好きになること」と題して、仕事との関わり方を述べている。自分の好きなことを仕事にできれば素晴らしいが、好きなことを仕事にする中でも、やりたいことと苦手なことが出てくる。養老氏自身も臨床より基礎研究がしたいという思いから解剖学を選んだが、解剖用の献体を集めることなど「好きなことをするためにはしなければならないが、それ自体は好きではないこと」もこなす必要がある。「好きなこと」を選ぶだけではなく、「やっている仕事」自体を好きになることも大切だとしているい。
・幸福の基準が「人間関係」に偏りすぎている。例えば自然の美しさにも幸せを得られる感性があれば、幸せも不幸せももっと広く普遍的に感じられる。人との関係だけに重点を置くのは危うさがある。
【感想・考察】
アドラーは人の悩みは全て「人間関係」に起因するとしているが、「幸せ・不幸せ」の基準まで全てを「人間関係」に置くことの危うさは感じる。より良い人間関係を築くための努力は必要だが、もっと広い根源的な価値基準を持つことで、より安定することができると思う。