Kennie の読書録

毎日1冊本を読み、記録を残したいと思います。

すべての疲労は脳が原因

【作者】

 梶本 修身

 

【あらすじ・概要】

 疲労についての研究をしている医学博士の著作。疲労の原因は乳酸ではなく活性酸素だという見解。疲労を定量的に評価するための疲労バイオマーカを見つけ、実際には有酸素運動程度では筋肉疲労は発生していないことが確認され、脳の自律神経を調整する部分(前頭葉の眼窩前頭野)が活動低下することが主因で、その根本的な原因は活性酸素による酸化であるとしている。

 精神的な高揚感やアルコールなどは疲労感をマスキングし感じにくくするが、疲労自体は蓄積しているので、過労による事故や健康障害に繋がるとしてる。

 疲労の発生を抑え、回復を早める為の方法として以下のような提言をしている。

・紫外線による活性酸素の発生を抑える為、直射日光に気をつけサングラスも活用。

・質の良い睡眠が不可欠。睡眠時無呼吸症候群防止のための治療法、補助器具(CPAP)を紹介。

・質の良い眠りのため、アルコールを避けること。

・質の良い眠りのため、夕方には橙色の光を使う、就寝前のブルーライトを避けるなど、サーカディアンリズムを整える工夫をすること。

・疲労を回復するための栄養素として「イミダペプチド」を紹介。鶏の胸肉などに多く含まれる。一度小さい構成のアミノ酸に分解されてから脳内で再構築されるため、脳疲労に集中的に効果を示す。

・ビタミンCも抗酸化効果はあるが、持続時間が短いため脳への効果は限定的。

・BCAAは直接的な疲労回復効果はない。筋肉増強には有効。

・アミノ酸はエネルギー代謝に必要となるため、細胞のエネルギー供給に有効。イミダペプチドなどの抗酸化物質と合わせて使うと効果が高い。

・鰻などビタミンB1を含む食品がスタミナをつけるという話もあるが、現代では十分足りている栄養素で特に補助する必要はない。

・脳をリラックスさせる環境も必要。脳は自然な揺らぎのある状況を好む。

・脳のワーキングメモリを増やし、脳の活動領域を広げることで疲労発生箇所が集中せず、疲れにくくなる。物事を多面的に見る、人とコミュニケーションをとる、多趣味となる、などが有効。

 

【感想・考察】

 疲労についての本だが、睡眠・栄養・環境 から脳の使い方まで広範囲について言及されていて学ぶべき点が多い。医学博士の著作だけあって、「睡眠時の呼吸改善(CPAP)」や「疲労回復に効果のある栄養素(イミダペプチド)」など具体的な施策についてはきちんとしたエビデンスを提示している。「疲れをきちんと感じてきちんと休むことが大事」だというメッセージは伝わってきた。