アリス殺し
【作者】
小林 泰三
【あらすじ・概要】
「不思議の国のアリス」の様な世界の夢を毎日みていた主人公だが、その夢が周囲の何人かと共有されていることに気づく。また夢の世界での死が、現実世界での死にリンクしていることも分かってくる。夢の世界でシリアルキラーの容疑を受けた主人公が、疑いを晴らすため現実世界と夢の世界の両方を行き来しながら真犯人に迫っていく。
【感想・考察】
「不思議の国のアリス」の世界観を示すため、キャラの語り口が独特だが、ちょっとしつこ過ぎて最初は読みにくい。また人が死ぬシーンは不必要にグロい。といった読みにくさはあるが、ミステリとしての構成の面白さは素晴らしい。
現実世界と夢の世界で記憶の受け渡しが曖昧になりがちなこと、アバターは必ずしも実体に近いものではないことなど、特殊な世界設定をうまく使って優れた謎解きを仕掛けてきている。純粋なミステリ作品としてとても楽しめた。