四季 冬 Black Winter
【作者】
森 博嗣
【あらすじ・概要】
四季シリーズの最終章となる第4作。前作の「夏」は犀川や萌絵の目線から見た四季の話だったが、今作では四季自身が主な語り部となる。その分高度に抽象的な話が多く、四季の内面を現すように時間も空間もランダムに並んでいるので、ストーリーとして理解するのは難しい。
前作までにAIの進歩やバイオテクノロジーの取り込みを進めていたが、人造人間である「ウォーカロン」の登場まで進み、話は近未来にまで至っている。
【感想・考察】
人の存在が矛盾をはらみ、”分からない”からこそ美しいということを四季が理解し、尖った天才から、人類の歴史を寛容し俯瞰する神の様な存在にまで持ち上げている。
四季がアシスタントであるウォーカロンのパティに”孤独”を理解できるか尋ねるシーンは印象に残った。一人であること他の人との接点がないことではなく、誰にも伝わらないことの辛さが孤独なのだという感覚は理解ができる。
美しくまとまった作品だと感じた。