四季 秋 White Autumn
【作者】
森 博嗣
【あらすじ・概要】
四季シリーズの3作目。今作では四季自身はほとんど登場せず、S&Mシリーズの犀川と萌絵、Vシリーズの紅子と保呂草など、四季を中心につながっている作品群の関係性を描いている。「すべてがFになる」の妃真加島の事件から7年後、犀川たちは隠されたメッセージに導かれイタリアの田舎町で”四季”の幻影に出会い、許し許される。
【感想・考察】
S&Mシリーズの続編として楽しめる。犀川と萌絵の関係が緩々と進展したり、過去の作品での四季の考えを垣間見ることができ、シリーズの作品世界が好きな人には楽しい。特に萌絵が自己撞着から許すことを理解し、大きく成長したように思え嬉しく思う。作者は1994年の段階でコンピュータのハード・ソフトの発展が人間の思考能力を拡張し凌駕していくことを予見していた。この作品の描かれた2001年の段階ではバイオテクノロジーがキーになると見ているのが興味深い。
四季シリーズは単体で読んでもさっぱりわからないので、少なくとも「すべてがFになる」と「有限と微小のパン」は先に読むことをお勧めする。