満願

【作者】

 米澤 穂信

 

【あらすじ・概要】

 6編の短編集。連作短編ではなく、純粋に独立した話で構成されている。

・夜警

 殉職した部下について回想するうち、「小心者」であった部下が何を思い何をしたのか思い及んで行く話。

・死人宿

 以前の恋人との復縁を願う男が、自分は以前と違うということを示そうと、元恋人が勤める温泉宿で起きた事件の解決にあたる。

・柘榴

 娘を愛する母親と中学生の姉妹の話。両親の離婚に伴う親権争いで母の通ってきた道を娘たちも通る。

・万灯

 バングラディッシュでの天然ガスプラント建設に人生をかける男が、その真剣さゆえに徐々に道を踏み外し、意外な裁きを待つ立場となる。

・関守

 都市伝説となるような怪奇譚を探すライターが、とある峠での連続死亡事故を調査する。バラバラに思えた4件の事故に繋がる背景が不気味。

・満願

  弁護士となるまで苦学を支えてくれた下宿宿の「おかみさん」の殺人事件裁判を弁護するが、「おかみさん」は旦那の訃報を聞き、控訴審への上告を拒んだ。弁護士は犯行が計画的ではなかったことを訴えていたが、服役していた間に違和感が膨らみ真相に近づいて行く。

 

【感想・考察】

 この作者の作品はどれも不気味な読後感を残す。今回の短編集では、各々の犯行を引き起こした心理的な背景が生々しく、「自分もそこに行きかねない」ような気持ちの悪さがあるからだと思う。後半でどんでん返し もあるが、心が騒つくような、気持ちの悪い方向に転ぶ。心に刻み付けるような話を連続で叩き込んでくるのはすごいと感じる。