優しい死神の飼い方

【作者】

 知念 実希人

 

【あらすじ・概要】

 犬の形で人の世界に降りてきた”死神”が、古い洋館を改築したターミナルケアのホスピスで、死を間近に控えながらこの世に未練を残し、地縛霊となりそうな人々を救っていく物語。

 主人公の”死神”は、ホスピスの看護師である 菜穂に吹雪の中から救われ、ホスピスで買われることとなった。病院にはそれぞれ過去に悔いを残した4人の患者がいて、それぞれが思い残したことを、”死神”が干渉し、過去に起こったことの真実の姿を見出し、魂を解放していく。

 戦時中の悲恋、借金に終われた末の暴走、自分の絵に自信を失ってしまった絵描きの話がほぼ独立した短編のように語られるが、その舞台となった洋館やそこに住んだ家族のストーリーが背後で繋がっていて、結末へと導かれる。

 それぞれの物語で謎が解かれるミステリでもあるが、登場人物たちの生き様を描く優しい話だった。

 

【感想・考察】

 登場人物たちは死を目前に控えていることを自覚しているが、過去のわだかまりをといて、残された日々を充実して生きていく。作者は死が人の日常から遠いものになってしまったから、いざ死を目の前にして思いを残すことが多くなっているのではないかと”死神”に語らせている。「生きることは死なないことではなく、与えられた瞬間を逃すことなく燃焼させることだ」といメッセージが熱い。

 天久鷹央シリーズの作者なので、ラノベ寄りの軽さを想像していたが、ーマは重く予想を裏切られた。ただ語り口は軽く、登場人物たちも清々しいので、くらい読後感にはならない。

 とても面白い本だった。