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なにかのご縁2 ゆかりくん、碧い瞳と縁を追う

野崎 まど

 

前作からの続き。

フランスから来た高校生縁結びストローランと、年老いた縁結びうさぎのユリシーズが絡んでくる。

 

今回の話で一番印象的だったのは、先輩と漫画になりたいという夢との絆を切る話。

 

自分の本気の作品が受け入れられず、自分の能力の限界を見るのが怖くて、自分で言い訳ができるレベルの中途半端な作品しか書いてこなかった先輩が、その話の主役。

社会に出て数年経ち、恋人が背中を押したこともあって、初めて本気の作品で勝負をかけてみたがあえなく撃沈、漫画をあきらめ、恋人と一緒に地元に帰って暮らすことを決意する。

縁結びのうさぎは、先輩と先輩の夢を結ぶ綻びた縁を切って、先輩を苦しさから解放した。

 

表現をしなければ他者からの評価を受けることもなく、自己の可能性は無限だと感じていることはできる。ただそこを踏み出して、他者の評価を受ける覚悟がなければ何も生み出せない。他者に自分のできることを晒してこそ、自分のできることが見えてくるし、自分の成長が果たせるのだろう。

この作者は作品を作り表現することに徹底的に真剣なゆえに、そういう勇気すら持てなかった先輩に厳しい現実を見せているのだと思う。

それでも自分の殻の中で完ぺき主義を貫く態度から一歩踏み出したことは、大きな成長の一歩で、何かを表現することを生業としている人はもちろん、どんな立場の人にとっても必要なことなのだろうと感じた。