中東から世界が崩れる 〜イランの復活、サウジアラビアの変貌
高橋和夫
中東情勢は分かりにくいと感じていたが、この著者の見方はシンプルで理解しやすい。
中東の紛争はイスラム教を軸に語られることが多いが、
実際には地政学的な必要性から生じていて
宗教、宗派の違いが決定的な要因では無いという前提で見ると
イランやサウジアラビアの動きが理解しやすい。
イランはイスラムの国ではあるが、アラブ系ではなくペルシア系の民族が中心となっていること。
サウジアラビアなどは国民を元にした国家ではなく、王の一族と周辺が肥大化しただけの国もどきであること。
中東が不安定であるのは実際の民族や歴史を無視した形で、欧米諸国が国境を引いたことが原因になっていること。
など、キーとなる部分を理解すると、その周辺の流れも理解しやすい。
中東情勢理解の入門には最適な本だと思う。