哲学
「ループ量子重力論」を唱える物理学者 カルロ・ロヴェッリによる「時間論」です。数式などはほとんど出てこないのですが、難易度は高く、正直すべては理解できてはいません。それでも、「過去から未来へという時間の方向性」「原因から結果という因果律」が…
長期記憶を失った人類が、外部記憶装置を使って文明を繋いでいくお話です。SF小説の体ですが「人格の本質は記憶の蓄積にあるのか、身体性にあるのか」を突き詰めた哲学的思索の書でもあります。後半は、記憶が外部に出されたらどのようなトラブルが想定され…
ミシェル・フーコー「監獄の誕生」の解説です。中世以前は、身体を痛めつける身体刑が公開処刑の形で行われていたのに対し、近代以降、一般人から隔離された場所で自由を拘束する「自由刑」が主流となったのはどうしてなのか、という視点から近代を読み解い…
ここ半世紀ほどの間に、巨大な「知のパラダイムシフト」が起こっているから、それ以前のパラダイムで書かれている本は読まなくてもいいよ、というお話です。複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学、功利主義の5分野を上げ、どのようなパラダイムシフトが起こっ…
いわゆる「哲学」の本ではなく、考える方法を学ぶための「哲学対話」の実践を勧める本でした。「自分で考えているつもりでも、実は社会の求めていることに従っていたりして、思った以上に人は自由ではない」と著者は言い、対話を通じてより自由に自主的に考…
飲茶さんの「哲学的な何か」シリーズです。 こちらはフェルマーの最終定理にまつわる数学史がメインですが、分かりやすい解説と興味を引く語り口はいつも通りです!細かい数式とか数学理論とか全くわからずに読んでも大丈夫。 こちらに要約をまとめたので、…
天地間のことはすべて正当に行われている。 天道はいつも正義の味方である。 タイトル:富と幸せを生む知恵 作者 :渋沢 栄一 オススメ度 役立ち度 ★★★★☆ 実践しやすさ ★★★☆☆ 分かりやすさ ★★★★☆ 総合オススメ度 ★★★★☆ 要約 明治から大正期の実業家、渋沢栄…
「人間は完全な正義を知りようもない。それでも、何が正しいか分からない世界の中でも、『正しくありたい』と願い、『善いこと』を目指して生きていく。きっとそれこそが、人間にとって唯一可能な正義だ」 タイトル : 正義の教室 作者 : 飲茶 オススメ度 …
「公正な社会は、ただ効用を最大化したり選択の自由を保障したりするだけでは達成できない。善良な生活の意味をともに考え、避けられない不一致を受け入れられる公共の文化を創り出さなくてはいけない」 タイトル : これからの「正義」の話をしよう ──いま…
世界中に定められたどんな記念日なんかより あなたが生きている今日はどんなに素晴らしいだろう タイトル : 飲茶の「最強!」のニーチェ 作者 : 飲茶 オススメ度 分かりやすさ ★★★★★ おもしろさ ★★★★☆ 哲学への扉 ★★★★☆ 総合オススメ度 ★★★★★ 要約 OL”アキ…
タイトル : NHK「100分de名著」ブックス 荘子 作者 : 玄侑 宗久 オススメ度 分かりやすさ ★★★★☆ 清々しさ ★★★★★ 有用性 ☆☆☆☆☆ 総合オススメ度 ★★★★☆ 完全な受け身こそが自由。無為こそが純粋な生命。 要約 「荘子」 について 荘子という人物は紀元…
欲望の時代に立ち向かう「新実存主義」を提唱するマルクス・ガブリエル氏の言行録です。ポストモダンの思想家に感じるシニカルさを超えて、人間に対する愛と信頼を感じさせます。 タイトル:マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する 作者 :丸山 俊一 オ…
私たちが「世の理不尽さ」を感じるのは「理」え根本的に誤解していることが理由の一つだとし、本書では特に「対称性の錯覚」に着目していきます。 タイトル 「無理」の構造 ―この世の理不尽さを可視化する 作者 細谷功 あらすじ・概要 対称性の錯覚 例えば「…
「史上最強の哲学入門」の第2弾です。西洋の哲学史を解説した第1弾に続き、東洋哲学についての入門書です。 西洋哲学とは性質の違う東洋哲学を、別のアプローチで説明しようとしています。入門書ではあるけれど飲茶さんの他の本を先に読んでおいた方が理解し…
哲学の本なのに参考文献筆頭が「グラップラー刃牙」というのは中々ファンキー。「真理」「国家」「神様」「存在」というテーマに分けて、各時代の哲学者たちが、より優れた「真理」を求めてきた闘いが開設されています。 飲茶さんの本は本当に分かりやすいし…
土屋氏の大学での講義を本にまとめたものです。 タイトルの「なぜ人間は八本足か?」をみて「相変わらずナンセンスなギャグが好きだなぁ」と思ったのですが、本書を読み印象が変わりました。 「無意味な言葉を積み上げることのバカバカしさ」を笑い飛ばすこ…
飲茶さんの「哲学的な何か、あと科学とか」が大変面白く、コメントでも紹介いただいたこちらの本も読んでみました。 タイトルに「14歳からの」とあるけれど、14歳向けの本という訳ではありません。哲学は14歳くらいで経験する「中二病」が入った「極端で幼稚…
「科学哲学史」というと難しそうですが、驚くほど分かりやすい本でした。 「正しいとは何か」を科学的に追求し哲学的な問題にぶつかります。デカルト数百年におよんで追求されてきている流れを説明し、新たな科学的発見などがどのように影響しているのかを本…
哲学としてのプラグマティズムについて、その源流から現代の流れまでを解説する入門書です。 人によって重点が違いますが、大筋としては「西洋哲学史では『不変で確実な真実』追い求めてきたけれど、どうやら怪しい。現実に即して役に立つものが真実でいいん…
近年改めて注目されているマルクス「資本諭」ですが、分かりにくいレトリックが多く難解な書物とされています。 池上彰さんらしく、とても分かりやすく噛み砕いて説明してくれています。 「人間の労働があらゆる富の源泉であり、資本家は、労働力を買い入れ…
18世紀末のフランス革命前後から20世紀半ばまで、アナキズムを牽引した人物の紹介し、その思想を伝えていきます。 「権力者はろくなことしねぇ」というのはその通りと思うけれど「権力がなければ、自然にうまくいく」というのは楽観的過ぎると感じます。 情…
集団と個人の関係を読み解く 社会心理学についての講義です。 「決定論」的な立場を取りながら、 社会の「虚構」を肯定的に捉え、 「同一性」と「変化」の矛盾に切り込んでいます。 学際的で話が飛ぶところもあるのですが 主張がはっきりしているので内容は…
実存主義、構造主義の本だと思って読んだのですが どちらかというと 文学評論 寄りの内容でした。 20世紀半ば以降の文学に実存主義と構造主義は どのように組み込まれてきたかを解説しています。 カフカ、カミュ、やサルトルなどの「実存」に迫る作品や 神話…
サルトルの考え方を「簡単に」 説明する本とありますが 哲学的な言い回しは、私にとって まったく「簡単」ではありませんでした。。 それでも、実存主義の考え方の外枠は 何となくわかったような気がします。 【タイトル】 サルトル 失われた直接性をもとめ…
プラトン、ルネ・デカルト、ハンナ・アレント、 吉本隆明 たちの著作を題材に 「本と対話し、自分の考えを深めていくこと」を説く本です。 分かりやすい哲学入門書でした。 【タイトル】 考える教室 大人のための哲学入門 【作者】 若松英輔 【あらすじ・概…
脳科学者 茂木健一郎氏のエッセイです。 意識とはニューロンの発火に過ぎないのか、 だとしたら認識のもとになるクオリアとは何なのか、 といった考察から始まり、 茂木氏の個人的経験も含めた持論を展開しています。 【タイトル】 生きて死ぬ私 【作者】 茂…
「古代ギリシアを中心とした哲学者たちが 美少女キャラ化して学園生活を送る」という内容です。 前半は著名な哲学者の思想を紹介する 「マンガで分かる!哲学入門」のノリだったのですが 後半で近代・現代の思想とぶつかる中で 「人間とは何か」を問う物語に…
バカバカしく笑えるエッセイです。 屁理屈の多彩さに哲学者の神髄を見た気がしました。 「深い洞察風の単なる屁理屈」に憧れます。 【タイトル】 われ笑う、ゆえにわれあり 【作者】 土屋賢二 【あらすじ・概要】 コメディ的エッセイなので「あらすじ」は書…
不幸のスペシャリストとして 「厳密な思考」と「ユーモア」を日本の柱とした 「不幸を軽減する方法」を説く本です。 モノの見方や受け止め方を広げるような視点です。 【タイトル】 幸・不幸の分かれ道 【作者】 土屋賢二 【あらすじ・概要】 当たり前に縛ら…
政治イデオロギーとして利用されてきた 「儒教」としてではなく 「孔子の本来の意図を推察しながら 論語を読んでみましょう」という本です。 とても分かりやすい解説書になっています。 【タイトル】 NHK「100分de名著」ブックス 孔子 論語 【作者】…