毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

ミステリ

『キネマ探偵カレイドミステリー ~再演奇縁のアンコール~』 斜線堂 有紀

「キネマ探偵カレイドミステリー」シリーズ第2弾です。 前作に引き続き、 映画好きの引きこもり嗄井戸と、その友人奈緒崎の交流が微笑ましくていい感じです。3話の連作短編集なで映画をモチーフにした各話の謎解きも面白いのですが、前作からシリーズと通し…

『キネマ探偵カレイドミステリー』 斜線堂 有紀

映画好きの引きこもり大学生 嗄井戸高久が、友人の奈緒崎と一緒に安楽椅子探偵として事件を解決していく、4編の連作短編ミステリです。男子大学生2人の、ダラダラした感じの交流がいい感じで、自分の学生時代を思い出しました。最近はまとまった時間を取るの…

『三毛猫ホームズの運動会』 赤川次郎

「三毛猫ホームズ」シリーズ最初の短編集です。 長編でも軽快なストーリー展開ですが、短編だとさらにテンポよく読みやすいですね。軽妙な会話で引っ張られるコメディ色の強い作品だけれど、そこで起こる事件自体はかなり陰惨です。特に男女関係では救いのな…

『櫻子さんの足下には死体が埋まっている 蝶は十一月に消えた』 太田 紫織

『櫻子さんの足元には死体が埋まっている』シリーズ第4弾! 櫻子さんのキャラクタがいいですね。 コミュニケーションは不器用で、相手との距離を測るのに苦心しているけれど、それだけ相手を尊重しているのでしょう。真相を推理しても、その事実をどう受け止…

『三毛猫ホームズの狂死曲』 赤川次郎

「三毛猫ホームズシリーズ」4作目。ヴァイオリン・コンクールの決勝進出を決めた7人の合宿所と、関係者たちの周辺で次々と起こる連続殺人事件。割と緩めなクローズドサークル・ミステリです。片山刑事は「モテない設定」の割に、毎回美女に迫られて羨ましい…

『三毛猫ホームズの駈落ち』 赤川次郎

「三毛猫ホームズ」シリーズ第5作。 12年前に駆け落ちして故郷を離れ東京で暮らす男女と、その周りで次々と起こる事件のお話です。駆け落ち後のドロドロとした恋愛関係はやたらとリアルで陰惨。ラブコメ全開の主人公の片山兄妹周辺の恋愛模様とは対照的でし…

『三毛猫ホームズの追跡』 赤川次郎

「三毛猫ホームズ」シリーズ第2弾です。 カルチャースクールで全ての講座に申し込んだ怪しい女は、殺人事件被害者の名を騙っていた。かつての被害者の関係者たちと、スクール講師たちに連続殺人が襲い掛かる。王道の「連続殺人ミステリ」です。1978年出版と4…

『私が大好きな小説家を殺すまで』 斜線堂 有紀

若くして天才と呼ばれた作家と、虐待を受けながら彼の小説に救われた少女の悲恋の物語です。少女は「憧れの相手が落ちぶれたら死んで欲しいと思う」という完璧主義から抜け出せなかった。若くして成功した作家は、プライドを守るため弱さを見せられなくなっ…

『影の車』 松本清張

松本清張さんは長編が有名ですが、短編も良いですね。長編ではじっくり書かれる社会背景の説明が作品に重厚感を出しているのですが、短編のスッキリした感じも好みです。1961年に出版された作品とのことですが、舞台装置の部分には隔世の感です。「登戸から…

『カラマゾフの兄弟』 フョードル・ドストエフスキー

長すぎるのでとっつきにくい印象があったけれど、ミステリとして読んでも、恋愛小説としても、当時のロシア情勢をめぐる話としても、宗教と魂の解放の物語として読んでも面白いです。 殺された父と、三人の息子+一人の非嫡出子 を、当時のロシア情勢を重ね…

『三毛猫ホームズの怪談』 赤川次郎

「三毛猫ホームズ」のシリーズ第3弾です。 先日読んだ、シリーズ第1作『三毛猫ホームズの推理』が面白かったので、続きを読んだつもりだったのに、2作目の『三毛猫ホームズの追跡』が抜けてました。Kindle Storeのサジェスト機能に騙された。。それにしても…

『三毛猫ホームズの推理』 赤川次郎

「三毛猫ホームズ」シリーズの第1作。女子大生の連続殺人を追ううち、女子大内部での汚職も発覚し事件は複雑化。被害者の飼っていた三毛猫のホームズが、刑事の相棒として推理を助けていきます。50年近く前の作品ですが、読みやすく面白いですね。「売れる要…

『ヒトリシズカ』 誉田哲也

主人公の「静加」は平然と嘘をついて人を操り、躊躇なく人を殺す。紛れもない「悪女」なのだけれど、何故か魅力的です。「自分自身と自分にとって大切な人を守るため」という行動原理が理解できるから、「意味不明な不気味さ」は感じないから、嫌悪感より憧…

『恋に至る病』 斜線堂有紀

人の心を操り壊していく少女の物語です。 東野圭吾さんの『白夜行』とか「悪女好き」な私にはどストライクでした。(あくまでフィクションでの話です)著者はあとがきで「主人公の少女は、誰一人として愛さなかった化物なのか、ただ一人だけは愛した化物なの…

『綾志別町役場妖怪課 すべては雪の夜のこと』青柳 碧人

『朧月市役所 妖怪課』シリーズ完結編。 日本の妖怪を集め隔離された「朧月市」から、ロシア妖怪を押し付けられた「綾志別町」に舞台が移っています。朧月市には外に出ると記憶が消される結界が張られていた。主人公の宵原秀也は朧月市を離れるとき、恋人の…

『追想五断章』 米澤穂信

「死んだ父の書いた小説を探して欲しい」という依頼を受けた古書店員が、背景にある事件の真相に徐々に迫っていくお話です。5編の作中作と、一つの事件を重ね合わせる複雑なプロットを、分かりやすくサクッとまとめる筆力はすさまじいと思わされます。。キャ…

『一番線に謎が到着します 若き鉄道員・夏目壮太の日常』 二宮敦人

蛍川鉄道で働く鉄道員たちと、就職活動中の大学生の物語が重なっていきます。二宮敦人さんの「お仕事ミステリ」は大好きです。 病院を舞台にした『最後の医者は桜を見上げて想う』シリーズなどは涙なくして読めない傑作です。けれども、作者はもっと「地味」…

『綾志別町役場妖怪課 暗闇コサックダンス』 青柳 碧人

『朧月市役所妖怪課』シリーズの続編です。舞台を朧月市から、北海道綾志別町に変え、主人公の宵原秀也が活躍します。朧月市が「日本中の妖怪を集め隔離した場所」だったのに対し、綾志別町は「ロシアにいた妖怪を受け入れて隔離した町」という設定です。青…

『月に吠えろ! 萩原朔太郎の事件簿』 鯨統一郎

「萩原朔太郎が名探偵」という設定からぶっ飛んでます。 室生犀星がワトソン役なのも何だか笑える。大正から昭和初期の文壇を舞台に、実話とフィクションが入り混じった不思議な雰囲気でした。朔太郎の探偵スタイルは独特で、事件から「詩」を読み取り、そこ…

『朧月市役所妖怪課 妖怪どもが夢のあと』

『朧月市役所妖怪課 河童コロッケ』『朧月市役所妖怪課 号泣箱女』に続くシリーズ完結編です。妖怪と人間が共存する朧月市の「妖怪課」の面々が活躍します。 前作までは謎解きミステリに重点がありましたが、最終巻では「ラスボスとの決戦」に向けて盛り上が…

『朧月市役所妖怪課 号泣箱女』 青柳 碧人

『朧月市役所妖怪課 河童コロッケ』に続くシリーズ第2弾。 かつて日本中に存在した妖怪が集められ隔離された朧月市で、妖怪と人とのトラブル解決に奔走する市役所「妖怪課」のお話です。軽く読める「妖怪ファンタジー+ミステリ +お仕事小説」ですが、公務…

『GOTH番外篇 森野は記念写真を撮りに行くの巻』 乙一

『GOTH 夜の章』『GOTH 僕の章』にに続くGOTHシリーズ番外編です。写真集に添えららた書下ろしを独立した小説として出版したもの。森野夜と「僕」についての説明がないので、この話から読んでも理解できません。順番に読むことをお勧めします。写真集のため…

『Another』 綾辻行人

26年前の事件から始まった三年三組の災厄を巡る学園ホラーミステリです。ホラーとミステリの組み合わせは相性がいいですね。 傑作も多い。追いつめられる怖さに、謎解きの緊迫感が重なって生み出される、独特な雰囲気が私も好きです。一方、難しさもあると感…

『GOTH 僕の章』 乙一

サイコパス気味な「僕」と、死体や猟奇事件に興味を持つ森野夜、二人が関わった事件を綴る短編小説集です。 前編の『GOTH 夜の章』では、森野夜が抱えている物語が解き明かされていきます。本書は「僕の章」で、「僕」に焦点が当てられています。最終話の「…

『GOTH 夜の章』 乙一

サイコパス的な酷薄さを持つ「僕」と、ネクロフィリア的性向を持ち誰にも心を開かない「森野夜」の物語です。 グロテスクな描写もあって陰惨な印象ですが、グロ表現が苦手な私でもページをめくる手が止まりませんでした。「夜の章」と題する本書では、森野夜…

『朧月市役所妖怪課 河童コロッケ』 青柳碧人

公務員のお役所仕事に憤る「お仕事小説」であり、妖怪と人間が共存する生活を描くファンタジーであり、謎解きミステリでもあるお話です。日本中にいた妖怪は排除され「妖怪と人間が共存するかつての日本の原風景」が残るのは朧月市だけになってしまったとい…

『ZOO 2』 乙一

ホラーから、本格的なトリックの仕込まれたミステリ、コメディ色の強い話まで、幅広い内容の短編集です。乙一さんのホラーは、淡々とした心理描写で主人公の「内面的な欠損」が感じられます。胸糞悪い残酷さもあるけれど、怖さより「やりきれない切なさ」が…

『アムステルダム運河殺人事件』 松本清張

実際の事件をベースにした「アムステルダム運河殺人事件」と、ゴルフ発祥の地を舞台とした「セント・アンドリュースの事件」、ヨーロッパを舞台とした2つの中編ミステリがおさめられています。50年くらい前に書かれた小説で日本の情景を見ると、街の風景も人…

『ZOO 1』 乙一

ホラーからSF、ミステリ要素もある、さまざまな作風の短編集です。 設計者が自分を埋葬するために作った少女型ロボットが「心」を学び取っていく話「陽だまりの詩(シ)」が一番好きでした。ホラー寄りの話も「何かが欠損している」人たちの行動は不気味で怖い…

『横浜殺人事件』 内田康夫

真面目な会社員の変死と、テレビレポーターの殺人。童謡「赤い靴」からヒントを得て、無関係に見えた二つの事件が重なっていきます。 完成度の高いプロットでミステリとして面白かったのですが、それ以上に描かれた横浜の風景に惹かれました。今から30年以上…

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