毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

ホラー

『玩具修理者』 小林泰三

めちゃくちゃ面白い!「人間と精密な機械と何が違うの?」と問う『玩具修理者』と、「時間の流れや因果律って人間の主観だよね」という『酔歩する男』 の2編が収められた短編集です。小林泰三さんは、思考実験を突き詰めた「哲学よりのSF」の作品に凄みがあ…

『クリムゾンの迷宮』 貴志祐介

参加者同士が敵となるバトルロワイアル形式の脱出ゲームです。 メンバー同士の騙し合いや、企画者の意図を読んでいく頭脳戦が面白いですね。こういう「騙し合いゲーム」が結構好きです。全体としては貴志祐介らしく「安定の後味の悪さ」があるのですが、この…

『875』 ヤマダマコト

「トイレの花子さん」や「人面犬」などの「都市伝説」をモチーフにした3つの短編集です。 『875』で「怪異」を受け入れた少女は、異世界に引き込まれてしまったけれど、おそらく彼女は幸せだった。 『犬畜生な私』で、「怪異」と戦った主人公はどんどん深…

『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』城平京

虚構推理シリーズ第2弾!今回は短編集です。「あやかしたちの報告」で最初から真相が分かっているので、ある種の「倒叙ミステリ」といえるのですが、一般的な倒叙形式が持つ「犯人視点での追いつめられる緊迫感」がある訳ではありません。「真相」よりも都合…

『タナトスの誘惑』 星野舞夜

YOASOBIさんの名曲『夜に駆ける』のベースとなった短編小説です。この話を読んでから曲を聴くと、ちょっと違う見方もできて面白い。ごく短い作品なので『夜に駆ける』が好きな方なら、一読をお勧めします。 Monogatary.com で読めます。 タイトルの通り「タ…

『三毛猫ホームズの怪談』 赤川次郎

「三毛猫ホームズ」のシリーズ第3弾です。 先日読んだ、シリーズ第1作『三毛猫ホームズの推理』が面白かったので、続きを読んだつもりだったのに、2作目の『三毛猫ホームズの追跡』が抜けてました。Kindle Storeのサジェスト機能に騙された。。それにしても…

『18禁日記』 二宮敦人

日記や手紙、ブログ記事などを通して、徐々に狂気に陥っていく人々を描く連作短編集です。何より怖いのは「普通と狂気の境界」が見えないことでしょう。ごく普通の常識的な人間が、いつしか狂気にとらわれる。「狂気の入り口はいたるところに開かれている」…

『GOTH番外篇 森野は記念写真を撮りに行くの巻』 乙一

『GOTH 夜の章』『GOTH 僕の章』にに続くGOTHシリーズ番外編です。写真集に添えららた書下ろしを独立した小説として出版したもの。森野夜と「僕」についての説明がないので、この話から読んでも理解できません。順番に読むことをお勧めします。写真集のため…

『Another』 綾辻行人

26年前の事件から始まった三年三組の災厄を巡る学園ホラーミステリです。ホラーとミステリの組み合わせは相性がいいですね。 傑作も多い。追いつめられる怖さに、謎解きの緊迫感が重なって生み出される、独特な雰囲気が私も好きです。一方、難しさもあると感…

『GOTH 僕の章』 乙一

サイコパス気味な「僕」と、死体や猟奇事件に興味を持つ森野夜、二人が関わった事件を綴る短編小説集です。 前編の『GOTH 夜の章』では、森野夜が抱えている物語が解き明かされていきます。本書は「僕の章」で、「僕」に焦点が当てられています。最終話の「…

『GOTH 夜の章』 乙一

サイコパス的な酷薄さを持つ「僕」と、ネクロフィリア的性向を持ち誰にも心を開かない「森野夜」の物語です。 グロテスクな描写もあって陰惨な印象ですが、グロ表現が苦手な私でもページをめくる手が止まりませんでした。「夜の章」と題する本書では、森野夜…

『ZOO 2』 乙一

ホラーから、本格的なトリックの仕込まれたミステリ、コメディ色の強い話まで、幅広い内容の短編集です。乙一さんのホラーは、淡々とした心理描写で主人公の「内面的な欠損」が感じられます。胸糞悪い残酷さもあるけれど、怖さより「やりきれない切なさ」が…

『ZOO 1』 乙一

ホラーからSF、ミステリ要素もある、さまざまな作風の短編集です。 設計者が自分を埋葬するために作った少女型ロボットが「心」を学び取っていく話「陽だまりの詩(シ)」が一番好きでした。ホラー寄りの話も「何かが欠損している」人たちの行動は不気味で怖い…

『夜行』 森見登美彦

10年前の京都鞍馬火祭で消えた長谷川さん。彼女以外のメンバー5人は10年ぶりに京都に集まり、とある画家の手による銅版画「夜行」にまつわる思い出話をしていきます。 「夢の中の夢」のように確実なものがない怖さを描き出すホラー寄りファンタジーでありな…

『十三番目の人格 ISOLA』 貴志祐介

過去のトラウマから解離性同一性障害となり多数の人格を内に持つ少女と、他人の感情をみる「エンパシー能力」を持つ女性の物語。少女のトラウマを紐解き分かれた人格を統合していこうとする前半ですが、中盤以降一気にオカルト・ホラーな展開になっていきま…

『雀蜂』 貴志祐介

「幽霊や人間も怖いけど、昆虫ホラーは本当に怖い」と思わせておいて、ラストで「やっぱり人間怖えー。。」となる、ブラックホラー。前半の緊迫感のあるスズメバチとの戦い、中盤での作中作ストーリーに触れるメタ展開、そしてラストのどんでん返しと、飽き…

『死にぞこないの青』 乙一

あなたは「自分の痛み、屈辱」から目を背けていませんか? イジメの構造に切り込んだ暗めの話ですが、一読する価値はあると思います。 こちらのブログにあらすじと感想を書きました。 リンク先を読んでもらえると嬉しいです! booklet.world

『カーミラ』  J・S・レ・ファニュ

19世紀に書かれたドラキュラ伝説の原型「カーミラ」を読みました。 驚かすというより追い詰められていくような怖さがあります。 百合要素強めで耽美的な作風なので、好きな人はハマると思います。 こちらのブログであらすじ紹介をしているので、 読んでもら…

『Fと成りうる者』 初瀬明生

「なあ、こんな都市伝説を知っているか?」 呪いの連鎖が襲いかかる本格ホラー。 タイトル:Fと成りうる者 作者 :初瀬明生 オススメ度 ホラー要素 ★★★☆☆ 伏線の巧みさ ★★★★☆ 狂気の連鎖 ★★★☆☆ 総合オススメ度 ★★★☆☆ あらすじ-ネタバレ 「なあ、こんな都市…

『郵便配達人 花木瞳子が顧り見る』 二宮敦人

めちゃくちゃ怖い。。 でも、途中から物語の見え方が変わってきます。 タイトル : 郵便配達人 花木瞳子が顧り見る 作者 : 二宮敦人 オススメ度 お仕事ミステリ ★★★☆☆ ホラー要素 ★★★★★ どんでん返し ★★★★☆ 総合オススメ度 ★★★★☆ あらすじ 郵便配達人の花木…

『足』 二宮敦人

自分でストーリーを作るべきなのだ。 与えられるだけの人間になってはならない。 君は支配されてはならない。 タイトル : 足 作者 : 二宮敦人 オススメ度 猟奇サスペンス? ★★★☆☆ 不条理ホラー? ★★★☆☆ 自分で考えること ★★★★☆ 総合オススメ度 ★★★☆☆ あら…

『郵便配達人 花木瞳子が仰ぎ見る』 二宮敦人

「手紙には気持ちがこもっているんだ。 信頼が、愛が、想いが。 読んだ人は文字から気持ちを再生するんだよ。二人が共有したのは文字だけでも、それ以上のものがやり取りされている」 郵便配達人 花木瞳子シリーズ第2弾! タイトル : 郵便配達人 花木瞳子が…

『郵便配達人 花木瞳子が盗み見る』 二宮敦人

手紙に秘められた歪んだ思い。 郵便配達人が不気味な謎を解いていく! タイトル : 郵便配達人 花木瞳子が盗み見る 作者 : 二宮敦人 オススメ度 お仕事ミステリ ★★★☆☆ ホラー要素 ★★★★☆ どんでん返し ★★★★☆ 総合オススメ度 ★★★☆☆ あらすじ 郵便配達人の花木…

『跡継ぎの条件』 恩田陸

恩田陸さんのごく短い作品です。 ちょっとしたホラーっぽいのですが、怖いというより不思議な雰囲気のある話でした。 タイトル 跡継ぎの条件 作者 恩田陸 あらすじ・概要 高校時代の友人たち老舗居酒屋に集まる。早い時間だったが人気店でほぼ満席だった。現…

ゴーストフォビア

幽霊の話とか、普段あまり怖いと思わないのだけれど この話は結構マジで怖い。 蓮コラをイメージするお岩さんの衣装とか、 血まみれでビルの階段を這って自殺を繰り返す女子高生とか 口をひん曲げて笑う人形だとか合わせ鏡の部屋とか、 ビジュアル的に怖いシ…

沙高樓綺譚

ちょっと不気味な5つの話が 「沙高樓」の一室で語られます。 百物語の様な舞台設定です。 昭和30年代の雰囲気が伝わってきますね。 明治維新はまだ「歴史」として消化されておらず 第二次世界大戦はリアルに目の前の出来事だった時期。 50~60年ほど前の話で…

灰は灰へ:Ashes to Ashes 伊達町サーガ

北海道の伊達町を舞台とした3つの短篇集です。 SF、ホラー、エロ、ミステリ等々をまぜこぜにしたような 夢の中に取り残されたような不安を感じさせる話です。 どの話でも兄弟・姉妹のつながりが 描かれているのは共通要素で、 どこかで繋がっているように見…

能登怪異譚

能登地方の方言にのせて語る 9編の怪異小説短編集です。 土着の不気味さが滲み出るような話です。 【タイトル】 能登怪異譚 【作者】 半村良 【あらすじ・概要】 能登を舞台とした9編の怪異短編集。 箪笥(たんす) 男は、夜に子供が寝床を抜け出して 箪笥の…

屍人荘の殺人 〈屍人荘の殺人〉シリーズ

外部との連絡が絶たれたペンションで起こる連続殺人事件という まっとうな本格推理小説ですが、 外部との連絡の絶たれ方が斬新だったり その割に登場人物たちが冷静だったりして、 いろいろと「期待を裏切りまくる」面白さがありました。 【タイトル】 屍人…

夢十夜

「こんな夢を見た」 で始まる十夜の物語です。 非論理的な内容な分、メッセージが隠されているように感じます。 メタファーから多様な解釈を許すエヴァ的な戦略なのかもしれません。 【タイトル】 夢十夜 【作者】 夏目漱石 【あらすじ・概要】 第一夜 男は…

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