毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

『Another』 綾辻行人

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26年前の事件から始まった三年三組の災厄を巡る学園ホラーミステリです。

ホラーとミステリの組み合わせは相性がいいですね。 傑作も多い。
追いつめられる怖さに、謎解きの緊迫感が重なって生み出される、独特な雰囲気が私も好きです。

一方、難しさもあると感じます。
オカルト的な超常現象があると、論理的なミステリは成り立たなくなる。壁抜け能力者のいる世界で、密室トリックは成立しません。
オカルト内のルールがあっても、ご都合主義感が出てしまうと、スッキリとした解決にはなりにくい。

まあ、本書はさすが綾辻さん、ホラー-オカルトの要素を詰め込みながら、しっかりミステリとしても成立させています。

「記憶や記録が改ざんされる」という、論理的な推理を全否定するような設定がありながら、ルールをよく見て考えると「信頼できる発言」が浮かび上がってくる。
そこを鍵に周辺の伏線に気づくことができれば、推理が成り立つ。

リンク先にあらすじと考察を上げています。
核心部分は避けていますが、ネタバレを含むので未読の方はご注意ください。

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『GOTH 僕の章』 乙一

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サイコパス気味な「僕」と、死体や猟奇事件に興味を持つ森野夜、二人が関わった事件を綴る短編小説集です。


前編の『GOTH 夜の章』では、森野夜が抱えている物語が解き明かされていきます。
本書は「僕の章」で、「僕」に焦点が当てられています。

最終話の「声- Voice」が特に好きな話でした。
前後編を通して綿密に仕組まれたトリックの回収も見事ですが、最後には森野夜も救われたのが嬉しいです。

ラストシーンで振り返りもせず別れた「僕」と森野夜が、二度と交わらなければいいと思う。
 
こちらのリンク先に、あらすじと感想を上げました。

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『GOTH 夜の章』 乙一

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サイコパス的な酷薄さを持つ「僕」と、ネクロフィリア的性向を持ち誰にも心を開かない「森野夜」の物語です。


グロテスクな描写もあって陰惨な印象ですが、グロ表現が苦手な私でもページをめくる手が止まりませんでした。

「夜の章」と題する本書では、森野夜の物語が3つの短編を通して語られます。
「夜が抱えてきたもの」を知ると、怖さが消える。



また、本作は3つの短編で構成されていますが、それぞれのトリックも秀逸です。

犯人-探偵役がともにサイコパスだからこそ通じ合う感じの謎解きとか、トリック自体が犯人の歪んだ心理を際立たせる仕掛けになっていたりとか、素晴らしい完成度です。

 

続編の「僕の章」では「僕」の物語がどのように解き明かされるのか、速攻読んでみます。

 

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『朧月市役所妖怪課 河童コロッケ』 青柳碧人

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公務員のお役所仕事に憤る「お仕事小説」であり、妖怪と人間が共存する生活を描くファンタジーであり、謎解きミステリでもあるお話です。

日本中にいた妖怪は排除され「妖怪と人間が共存するかつての日本の原風景」が残るのは朧月市だけになってしまったという設定です。

でも、日本の妖怪はしぶとく生き残ってます。
動物はもちろん、命のないモノでも、自然現象さえも擬人化してしまう「アニミズム的感覚」は現代でも失われていない。妖怪を生んだ心は今も健在です。

昨今の「萌え美少女擬人化」の隆盛をみても、日本の妖怪は安泰ですね。

 

リンク先にあらすじと感想を上げました。

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『ヨーロッパ近代史』 君塚直隆

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ルネッサンスから第一次世界大戦まで、「宗教と科学」の視点から近代ヨーロッパの歴史を解説します。

コロンブス以前のヨーロッパ人も「平らな地球の周りを太陽が回っている」という天動説を本気で信じていたわけじゃなく、キリスト教の縛りで地動説を公言できなかっただけ、というのは面白いですね。

何だか同調圧力の強い現代日本の住人としては、理解できる気がします。

こちらのリンク先に要約と感想を上げました。

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『ZOO 2』 乙一

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ホラーから、本格的なトリックの仕込まれたミステリ、コメディ色の強い話まで、幅広い内容の短編集です。

乙一さんのホラーは、淡々とした心理描写で主人公の「内面的な欠損」が感じられます。胸糞悪い残酷さもあるけれど、怖さより「やりきれない切なさ」が後に残ります。
不気味さがスパイスとなって、切なさがより強く心に残る感じですね。


リンク先にあらすじ紹介しています。

よろしければご覧ください。 

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『お江戸、ほろり 神田もののけ人情語り』 高橋由太

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ぽんぽこと白額虎、二匹の妖怪が江戸の町を舞台に活躍する「人情語り」です。

ぽんぽこたちが、とにかく可愛い!

玉子焼きに釣られ、「小判の使い方を知っている猫」には手玉に取られ、巨大な敵からは逃げ出してしまうけれど、その分、人の弱さを受け入れる柔らかさがあります。

直接実力行使するのは先輩妖怪たちや人間の剣士で、ぽんぽこたちは流されているように見える。でも、心を繋ぐ触媒として素晴らしい活躍をしています。

対立を解決するのは武力行使よりもお互いの理解。これが「人情語り」なのでしょう。


「ぽんぽこシリーズ」の続編だったらしいけれど、こちらから読み始めてしまいました。この本だけでも十分理解できるし面白いけれど、前作も読んでみよう。

 

リンク先にあらすじと感想を上げました。

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