毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

ヴィーヴルの眼

学園ミステリっぽい始まり方ですが

壮大な設定に繋がっていきます。

 

二転三転する展開や、高度な知能戦などを仕込みながら

組み込みつつ広げた風呂敷をきっちり畳んでいて

素晴らしく完成度の高い作品だと思います。

 

Kindle Unlimited で気軽に借りたけれど

意外な掘り出し物でした!

 

【タイトル】

ヴィーヴルの眼

 

【作者】

水谷 悠歩

 

 

【あらすじ・概要】

高校生の 宇佐美史郎と橘 千奈津 は

クラスメートの仁科が襲われた事件に関して

生徒会長の一条から情報収集を依頼される。

 

宇佐美たちは 仁科の周囲を調べていたが、

その最中に 一条が飛び降りて死んでしまう。

 

学校側では「一条の自殺は、

生徒会資金の使い込み露見が理由」と判断したが、

宇佐美宛に届いた「一条からの手紙」に

仁科事件の犯人が示されていたことで事件は展開していく。

 

「一条からの手紙」には次のターゲットが

千奈津であるとも書かれていたため

宇佐美は千奈津を守るために動き出す。

 

 

【感想・考察】

 盛りだくさんの楽しさだ。

「デスノート」とか「ライアーゲーム」的な頭脳戦や

「ガンダム」的なニュータイプと強化人間の悲哀だとか

完璧なまでに黒幕っぽい黒幕だとか。

 

色々な要素を詰め込みながら、二転三転するストーリーが

破綻なく進行していくのもすごい。

 

中々の傑作だ。 

 

国語ゼミ AI時代を生き抜く集中講義

あらゆる勉強の基本は「読む力」だとして

国語力を上げる方法を説いています。

 

取り上げる題材が佐藤優さんの得意分野中心なので

いつのまにか歴史や社会学の解説本っぽくなってますが

「読む力」を高めることの大切さは届きました。

 

 

【タイトル】

国語ゼミ AI時代を生き抜く集中講義

 

【作者】

佐藤雄

 

 

【あらすじ・概要】

1.教科書で「読む力」を養う

・要約と敷衍

 要約は重要な個所を抽出することで

 敷衍は抽象的な観念を分かりやすく説明すること。

 単なる抜出ではなくポイントを見つける。

 

・比較

 複数の記述を組み合わせて説明する。

 相違点と共通点を明確にする。

 

・能動的な読解

 自ら「問い」を立ててみる。

 

2.古典を読んで類するする力を養う

・読む力は「感化」によって身につく

 具体的な「誰か」の影響を受けることが決定的に重要。

・宇野弘蔵「経済原論」の読解

 マルクス「資本論」を研究し、マルクス主義と

 マルクスによる資本主義の分析を区別した「経済原論」を題材に

 読みにくい文章を解釈する方法として

 「長い名詞句の主語述語への置き換え」

 「敷衍と類推の読み取り方」などを解説する。

・メトリ「人間機械論」の読解

 唯物的な思想を持った医師メトリが

 18世紀に書いた「人間機械論」と

 昨今のAI の受け取られ方を重ねて読み取る。

・ゲルナー「民族とナショナリズム」の読解

 近代に生まれたナショナリズムの運動を通して

 「民族」が規定されたとする「民族とナショナリズム」を

 題材に文章の構造把握を解説する。

・小説から「社会の縮図」をみる

 宮下奈都の「羊と鋼の森」と

 リチャード・バック「かもめのジョナサン」を題材に

 「類推する力」から社会・人間を理解しようとする

 一例を示す。

 

3.「読む力」から「思考する力」を育てる

 実際の学生による読解回答例からポイントを取り上げ解説する。

・アナロジー思考

 メタファーとアナロジーの違い、神学での使われ方を解説。

・客観的な定義

 文中で使う用語を客観的に定義する必要性を解説。

・演繹的アプローチと帰納的アプローチ

 定義から出発する演繹的なアプローチに対して

 登場人物一人一人への考察から考えを進める

 帰納的なアプローチもあることを紹介。

・「事実」「認識」「評価」の区別

 読み取るときにも考えるときにも

 事実→認識→評価 の段階を踏むべきであると説く。

 

 

【感想・考察】

「読解力」についての本のはずだが

 佐藤氏による取り上げた図書の解釈自体が面白く印象的で

途中から何の本だか分からなくなった。。

 

「資本論」を資本主義の解析と「マルクス主義」と呼ばれ

その後に繋がった思想の部分に分けて考える見方だとか

「民族」というのは「自由」によりもたらされたナショナリズム運動が

先にあるフィクションであるという解釈など、

佐藤氏の得意分野の話はやはり面白い。

 

AI については器質・ハードウェアによる限界と

そこで走るプログラムの複雑さによる理解の限界が

同列に語られていて、ちょっと違うかなと感じたが。

 

 

思い通りの人生をデザインする複利の魔法: 誰もができる最強の人生設計論

「複利」の力は偉大ですね。

お金だけでなく、人脈や知識などの無形資産でも

それ自体が新たな価値を生む元手となってくれます。

 

指数関数的に増えていくものだからこそ

「少しでも早く」「投資に集中」することが

大きな成果につながるのだと説いています。

 

 

【タイトル】

思い通りの人生をデザインする複利の魔法: 誰もができる最強の人生設計論

 

【作者】

紺野純

 

【あらすじ・概要】

資産運用と人生設計において

複利の力を活かす方法を解説。

 

複利の力

・浪費・消費・投資の区別がないとお金に振り回される。

 投資を最大に、浪費はゼロに、消費は極力減らす。

・時間でお金を買うのではなく、お金で時間を買う。

・自分を変えるのは無理だという思い込みを捨てる。

・複利の力は小さな元本を大きく成長させる。

 

お金のマインドセット

・預金だけではインフレに追いつかない。

 社会保険料も上がり、円安の傾向にある。

・投資は「長期」「分散」「継続」がポイント。

 積立型の投資信託が長期的には有利。

・保険見直しなどで運用資金を捻出する。

・iDecCo,、NISAなど有利な制度を利用する。

・ふるさと納税も制度があるうちは使うべき。 

 

人生設計

・人生は自分で設計できる。

・自己投資で進化を二次曲線的に押し上げる。

・苦しくても新しい経験をすると新たな元手となる。

・主体的に生きるためにはタイムマネジメントが重要。

 自分の価値観に合わせて時間の使い方をコントロールする。

・第二領域「緊急ではないけれど重要なこと」に割く時間を

 予めブロックしておく。

・常にスケジュールを確認し、終わらなくても次の予定に進み、

 色分けなどでカテゴリごとのバランスを取る。

 隙間時間にできることを予め作っておく。

 

 

【感想・考察】

新たに獲得したお金、人脈、経験、知識などが

さらなる資産獲得の「元手」になることを考えると

初期段階で少しでも早く少しでも多く獲得することが

とても重要な意味を持つ。

 

「複利」の原理を考えると、まずは目先で

元本となる資産を積み上げることに集中すべきなのだろう。

 

「今すぐ動かなきゃ!」という刺激を与えてくれる本だった。

  

 

心のざわざわ・イライラを消すがんばりすぎない休み方 すき間時間で始めるマインドフルネス

マインドフルネスで「今ここ」に集中することで

心の不安を消しましょう! というお話です。

 

後半はマインドフルネスというより

自己啓発的な匂いが強くなってきますが

参考になる部分がたくさんありました。

 

【タイトル】

心のざわざわ・イライラを消すがんばりすぎない休み方

すき間時間で始めるマインドフルネス

 

【作者】

荻野淳也

 

 

【あらすじ・概要】

嫌なことがあっても、自分の心を客観的に自覚できれば

衝動的な反動を抑えて、選択的な反応ができることで

ストレスから解放される、とする。

 

マインドフルネスの取り組み方

1. 誰でもできる

 雑念が湧いても、自分の呼吸に意識を集中すればいい。

2. ジャッジしない

 「できた」「できない」を判断せず

 ただ今の状態をあるがままに受け入れる。

3. すぐに効果が出るとは限らない

 1日2日で効果は出ない。

 普通3週間くらい、長い人で半年ほどで変化に気づく。

4. 一呼吸でどこでも始められる

 忙しければ1分でもいい。

 短時間でも毎日続ける方が効果がある。

 

基本の瞑想

1. 基本の姿勢 

・椅子に腰掛け、骨盤を立て、脚は組まずに

 地面に足裏が付いていることを意識する。

・背骨の一本一本が真っ直ぐに伸びるイメージで

 肩を3〜4回回し、胸を開く。

・両手を膝の上に乗せる。 

 ・目を閉じるか、半眼にしてゆったり構える。

 

2. 基本の呼吸

・鼻から吸って鼻から吐き出す。

 腹式呼吸でゆったり行う。

 ただ厳密な決まりはなく、自分がリラックスれきればいい。

 

からだの声を聞く

体の感覚に意識を向けると感情のマネジメントがしやすくなる。

1. ボディスキャン

・マインドフルネス瞑想と同じ姿勢でゆっくり呼吸する。

・頭のてっぺんに意識をむけ、頭頂から意識を下に降す。

・頭から上半身に意識を移し、熱や違和感、安心感などを感じる。

・お腹へたどり着いたら丹田に意識をむけ呼吸を繰り返す。

・余裕があれば内臓もボディスキャンしていく。

・最後は足の指一本一本まで意識を向ける。

・両足で地面を押す感覚を味わった後、呼吸に意識を戻し

 深い呼吸を3回してから目を開ける。

 

2. お腹に手を当てて呼吸をする

 呼吸が浅い時は緊張している。

 

3. まずは姿勢を整える

 感情を変えたければ姿勢を見直す。

 

4. 手に感謝しながらハンドクリームを塗る

 手の感覚に意識をむけてみる。

 

5. お腹が空くまではご飯を食べない

 たまの空腹を味わう。からだが欲しがる食事の量を聞く。

 

6. 聞き手の反対の手で歯を磨く

 不自由だからこそ気づく感覚がある。

 

7. 自分の「気持ちいい」感覚に素直になる

 「気持ちいい」と声をだし、からだの感覚を正直に味わう。

 

8. かゆいところ、痛いところを観察する

 かゆみ、痛みと一体化せず客観的に観察する。

 

暮らしを整える

1. 食べる瞑想

・目の魔をの料理を観察し、目で味わう。

・箸などでとりあげ、匂いや重さを感じる。

・口に含んで舌触りや香りを楽しむ。

・ゆっくり噛み味わいや食感の変化を楽しむ。

・匂いや音の変化を感じながら30回くらい噛む。

 

2. 最初のひとくちだけでもマインドフルに食べる

 時間がなくても一口目はゆっくり味わう。

 

3. 美味しいお酒を適量飲む

 自分のペースを知り無自覚に飲まない。

 

4. 写真にとらず目で楽しむ

 人に見せるのが目的になって疲れていないか。

 

5.一ヶ所を徹底的に掃除する

 マルチタスクではなく 一つに集中する。

 

6. 植物を育てる

 植物に水をあげることで自分以外に目を向ける余裕を持つ。

 

7. 寝る前のマインドフルネス

 寝る前に呼吸に集中し、思考のざわざわを静める。

 ベッドタイムは寝転がってでもいい。

 

8. 不要なものを買い込まない

 心にゆとりがないと不安で買いすぎてしまう。

 

9. スケジュールと心に余白を作る

 2割の余白が思わぬ縁を呼び込む。

 

10. 寂しさを味わう

 寂しいと思うことを否定しない。

 寂しいと感じていることに意識を集中させる。

 

心を柔らかくする習慣

1. 歩く瞑想

・ゆっくりと息を吸い息を吐く。

 これに合わせ一歩前に進む。

・呼吸とともに、歩いている体を観察する。

 足が地面に近づく感覚、着地する感覚、

 体重移動の感覚などに注意を向ける。

 

2. 朝一番のチェックインを決める

 無意識に行動を始めず、今から始めるという

 チェックインの合図を決めておく。

 

3. 丁寧に顔を洗う

 顔を洗う時はそれだけに集中する。

 

4. 満員電車ではイライラすることを選ばない

 状況は選べなくても、どう感じるかは選べる。

 

5. 信号待ちで呼吸を整える

 心を整えるのは一瞬でできる。

 

6. 声に出して挨拶する

 まずは自分から挨拶をしてみる。

 

7. エレベータの中で呼吸を数える

 エレベータは集中コントロールを練習するチャンス。

 

8. 両手でコップを持ち一杯の水を飲む

 いつもの行動を丁寧にするだけでリセットできる。

 

9. 自分だけの避難場所を作る

 心が落ち着く場所があると思うだけで乗り切れる。

 

10. メッセージを送る前に深呼吸する

 反射的なリアクションではなく、一瞬止める。

 

11. 仕事をチェックアウトする

 残った仕事は紙に書き出して頭から吐き出す。

 

12. 使った後の物や場所は、使う前より綺麗にする

 使った場を整えることで心も切り替わる。

 

13. ドアは両手で開け閉めする

 まずは行動を丁寧にすると心もついてくる。

 

自分を休ませると決める

1. 観察瞑想(オープンモニタリング)

・姿勢を正して呼吸に意識を向ける。

・雑念が浮かんだら動揺せず

 注意が逸れていることに気づく。

・そこからゆっくり呼吸に意識を戻す。

 

2.  裸足になって海岸を歩く

 足裏の感覚に集中し心を研ぎ澄ませる。

 

3. 緑に囲まれる

 自分が気持ちいいと思う場所で緊張をほぐす。

 

4. 高いところに登ってみる

 物理的に目線を変えて視野を広げてみる。

 

5. SNS断ち

 すぐに返さなきゃいけないものはない。

 自分のペースでSNSと付き合う。

 

6. プジ断食で空腹を感じる

 惰性で食べず、空腹で内臓を休ませる。

 

7. 小さな一人旅をする

 せかせか回らずゆっくりと行きたいところだけにいく。

 

8. 自分との約束をも守る

 「いつかやりたいこと」は今やる。

 

9. 本当に会いたい人にだけ会う

 今度会いたい人ではなく「今」会いたい人と会う。

 

程よい距離感の人間関係

1. 思いやりの瞑想

 自分自身、家族や大切な人だけでなく

 苦手な人の幸せも祈る。

 苦しみや悲しみがなくなるように。

 心と体が健康であるように。

 平和で幸せであるように。

 

2. Just Like me と思う

 苛立ちを感じても相手も自分と同じように

 人生を抱えていると思うと優しくなれる。

 

3. 話を聞くというプレゼントを贈る

 気の利いた返事より、

 ただ話を聴くことが相手を癒すこともある。

 

4. 自分と違う相手に共感する

 人と違うのは当たり前。

 意見に同意できなくても感情を受け入れることはできる。

 

5.  褒め言葉、感謝の言葉を50個考える

 20くらいは思いつくが、意図的にその先を考える。

 

6. 「この人と会うのは最後かもしれない」と思い別れる

 限りがあると思うことで今が大切な時間になる。

 

ざわつく心を穏やかにする

1. 回復力の瞑想

・失敗したことなどを紙に書く。

・マインドフル瞑想で心をリセットする。

・失敗から得た経験をポジティブに捉え書き直す。

 

2. モヤモヤした気持ちに名前をつけ書き出す

 自分を責めずマイナス感情を認めることで

 自分を客観的に観察するメタ認知能力が高まる。

 

3. 怒りを感じたら「シベリア北鉄道」

・Stop 立ち止まり

・Breath 呼吸を整え

・Notice 気付き

・Reflect よく考えてから

・Respond 反応する

の頭文字を取って SiBerian North RailRoad 。

 

4. 誰も見ていないときにゴミを拾う

 「陰徳を積む」ことが自分の心を満たす。

 

5. 調子が悪い時もあると認める

 どうしようもない時は体調のせいにして諦める。

 

書く瞑想ジャーナリング

1. 自分が大切にしていることを書く

2. 何のために生きるのかを書く

3. 理想の未来を書く

4. 自分の凄いところを書く

5. 100の夢を書く

 

 

【感想・考察】

 

 

ビジネスマンへの歌舞伎案内

歌舞伎に興味はなかったのですが

成毛さんの説得力はさすがです。

敷居が高いと感じていたけれど、

俄然観に行きたくなりました!

 

【タイトル】

ビジネスマンへの歌舞伎案内

 

【作者】

成毛 眞

 

【あらすじ・概要】

歌舞伎を気楽に楽しもう、という入門書。

 

1. 現代人に歌舞伎が必要なわけ

・歌舞伎はビジネスとして成立している

 歌舞伎は補助金などは受けずに

 ビジネスとして自立している。

 経営努力があり「生きている」ビジネス。

 

・歌舞伎は分からなくても楽しめる

 昔の話で言葉も分かずらく、

 会社勤めには行きにくい上演時間で

 敷居が高いものと思われている。

 しかし、無理に分かる必要はなく、

 気楽に楽しむ程度のスタンスがちょうどいい。

 

・日本人必須の教養としての歌舞伎

 長いものでは300年間変わらないことが一つの魅力。

 同じ演目を見て自分の変化を感じることもできる。

 文化的素養として歌舞伎の知識を身に付けるのは

 少しでも早いうちの方がいい。

 

・リラックスできる場としての歌舞伎 

 歌舞伎には教訓も何もない。

 少なくとも現代題は通用しない価値観で

 そこから何かを学ぼうとする必要はない。

 衣装や音楽などそれぞれが楽しみを見出せばいい。

 

2.知らないと恥ずかしい歌舞伎の常識

・歌舞伎の分類

 長唄や踊りを見せるのは「舞踊」

 ストーリーがあるのが「狂言」

 「狂言」は江戸時代の現代劇「世話物」

 戦国時代を振り返って作られた「時代物」

 明治以降に創られた「新歌舞伎」に分けられる。

 内容による分類もあり、

 荒々しく豪快な「荒事」

 優男がメインとなる「和事」

 悲劇的な状況で苦悩する「実事」など。

 

・演目の一部だけが上演されている

 一つの演目を通して行うことはまれ。

 たとえば忠臣蔵だとフルで10時間以上となるので

 人気のある4段目、5段目、6段目などを抜き出すことが多い。

 

・定番キャラ

 基本的には全ての役を男性が演じる。

 立役-男役。白塗は良い人、赤が悪人、一般人は肌色。極悪人も白。

 花魁-女役で最も派手、30㎏以上の衣装を身に付ける。

 赤姫-武家の姫で赤井振袖を着ている。

 

・「大向こう」

 客席から「○○屋!」と声をかける大向う。

 熟練の技があるので一般客はマネしない方がいい。

 

・歌舞伎は役者を見に行くもの

 何代目市川何某 などの紹介。。

 

3.主な3演目

・仮名手本忠臣蔵

 赤穂浪士の吉良邸討ち入りを題材にした時代物。

 時代設定は室町に直されている。

 

・菅原伝授手習鑑

 菅原道真が太宰府に左遷された史実を基にした時代物。

 

・義経千本桜

 源義経は語り手で主人公ではない。

 平知盛と庶民、キツネが化けた男が主人公の時代物。

 

 

 

4.歌舞伎をスマートに楽しむ

 東京銀座の歌舞伎座、京都四条の南座、大阪の松竹座が3台拠点。

 歌舞伎座だけが常設。

 歌舞伎座は午前午後の2部構成。

 歌舞伎の1年は11月の顔見世から始まる。

 イヤホンガイドは遠慮せずに使うべき。

 ガイドブックである「筋書」は必須。

 幕間の時間は短いので予約しておくか持ち込む。

 

5.ビジネスに歌舞伎を役立てる

・粋な生き方働き方

 世話物にはアウトロー的で「軽み」のある人間が描かれる。 

 江戸時代は基本的に平和で、親切で優しい善人が多かった分

 奔放な生き方が憧れの対象となった。

 江戸時代の「粋」を伝えている。

 

・舞台はビジネスの縮図

 歌舞伎に「意味」を見出そうとすべきではない。

 必ずしもいい人がいい思いをするわけではなく、

 全ての出来事に理由があるわけでもない。

 ビジネスの世界でも不確実性を排除しようするが

 混沌や無秩序を含めて把握する必要がある。

 歌舞伎は実際の世の中の、またビジネスの縮図である。

 

・ブランドとしての歌舞伎

 歌舞伎は数百年前から「変わらない」ことで

 ブランド価値を増してきた。

 歌舞伎にも変わる部分はあるが

 「何を変え、何を変えないか」が重要。

 

【感想・考察】

「主君のために実子の命を差し出そう」とか

「命を投げ出して親の仇討ち」だとか言われても

今の私には共感するのは難しい。

 

それでもほんの数世代前には

そういう考えがまだ生きていたという事実は

認識しておくべきなのだろう。

逆に現代人の感性も数世代下れば

理解不能なものになるはずだ。

 

「変わらない」ものを見ることで

世界は「変わっている」ことを認識できるし

もしかしたら「ずっと変わらないもの」が

見つかるかもしれない。

 

そういう意味で

「分からなくてもいいから、とにかく観ておく」

というのは意味のあることだと思った。

 

 

会社勤務だと難しい時間設定で観に行きにくいし

そもそも日本に帰る機会が少ないのだけれど

まずは Youtubeでも見てみようと思った。

 

 

交換ウソ日記

「好きだ」一言だけのラブレターから始まる

優柔不断なデスメタル好き少女の恋愛物語です。

 

【タイトル】

交換ウソ日記

 

【作者】

櫻いいよ

 

【あらすじ・概要】

移動教室の机の中にラブレターを見つけた黒田希美。

女子に人気のある瀬戸山から告白に戸惑う。

手紙のやり取りをするうち、

瀬戸山は希美の友人江里乃の間違えていたことに気づいたが

希美は間違いだと言い出せず交換日記のやり取りを続けていた。

 

希美は交換日記では江里乃のフリをしながら

徐々に瀬戸山と直接話すようにもなる。

 

何にでも白黒をつけないと納得できない瀬戸山だったが

希美の優柔不断さを支える優しさと真摯な努力を見抜いて

認めてくれるようになり、

望みは急激に瀬戸山に惹かれていく。

 

 

【感想・考察】

優柔不断でいるのも大変だ。

相手を傷つけたくないし、

最終的には自分が傷つきたくないから

自分の意見を前に出さないでいると

「自分が無い」と言われてしまう。

 

本作で瀬戸山が間接的に示していたように

人が「自分の意見が無い人」に苛立つのは

「自分の意見が通る嬉しさよりも

相手の考えが見えないことの怖さが上回るから」なのだろう。

 

「どっちでもいい」に至った道筋を自分の中にしまわず

素直に話してしまえば受け取られ方は違ってくるはずだ。

 

本作の主人公希美は、

対立している点より高い軸を持ち出すことで

諍いをおさめようとしている描写が多く

優柔不断でありながら社会性は高い。

相手を信頼して「どっちでもいい」の道筋を示せれば

もっと生きやすくなっていくのだろう。

 

 

優柔不断で苦労している人たちへの応援歌だ。 

 

 

安楽椅子探偵アーチー

「安楽椅子に座って事件を解決する探偵」じゃなくて

「しゃべる安楽椅子が探偵」という設定だけでお腹いっぱいです。

モーリスのいた夏」でも思ったけれど、この作者さんは

設定の発想力がすごいと思う。

 

 

【タイトル】

安楽椅子探偵アーチー

 

【作者】

松尾由美

 

【あらすじ・概要】

小学生の少年 及川衛は骨董屋で見かけた

「寝息を立てる椅子」に興味を惹かれ

誕生日プレゼントを買うために渡されたお金で

その椅子を買う。

第二次世界大戦終末期の上海で

意識を持ち始めた椅子は人間の言葉を話すことができた。

 

首なし宇宙人の謎

衛のクラスメートでミステリ好きの野山芙紗が

先日起きた「家庭科課題のカバンの切断事件」を

推理し、容疑者である担任に直訴しようとしていた。

担任の犯行と思えなかった衛は椅子に相談し

事件の真相に辿り着く。

衛と芙紗 は椅子に「アーチー」と名付け

様々な相談をするようになった。

 

クリスマスの靴の謎

12月の横浜駅周辺で、酔っ払いに絡まれた男が

靴で相手を殴ろうとし、靴を落としていなくなってしまった。

衛の父は靴を拾い処置に困っていた。

衛はアーチーの助言を受け靴を分解し

踵に押し花が隠されているのを見つけた。

 

その頃、天才バイオリニストと呼ばれた少女が

レストランでの食事中にコサージュの花を盗まれるという

事件が起こっていた。

アーチーは靴の押し花とコサージュの花を結び付け

推理を披露する。

 

外人墓地幽霊事件

社会科見学で横浜の外国人墓地に来ていた衛と芙紗は

墓地入り口の張り紙にピンクのチョークらしきもので

落書きされているのを見つけた。

ある文字だけピンクでなぞられているのが

何かの暗号だと芙紗は解読を試みる。

写真に写っていた指にチョークの粉を付けた女性が

カギを握ると芙紗は外人墓地に何度か訪れ

真相を探ろうとする。

 

緑のひじ掛椅子の謎

芙紗は愛読しているミステリ雑誌で

第二次世界大戦末期の上海を舞台とした

「緑のひじ掛椅子」という小説が賞の候補作と

なっているのを見つける。

 

アーチーから聞いていた話とそっくりだったため

「元の持ち主を捜して欲しい」と頼まれていた衛は

小説を投稿した作者と話をしようと試みる。

作者の老人は、上野で行われるコンサート会場で

会うことを提案してきた。

 

【感想・考察】

そういう「安楽椅子探偵」ってありなのか!?

と驚愕する展開だった。

個別の話は、ミステリとしてちょっと無理のある展開だが

設定の意外さと少年少女の冒険譚としての面白さで

引っ張られるように読まされた。

独創性のある作者さんだと思う。

 

 

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