毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

あと3ヵ月でどうにかお金を稼ぎたいと思ったらスモールビジネス戦略だ!

【作者】

 中村裕昭

 

【あらすじ・概要】

 スモールビジネスを立ち上げるのに必要な考え方を丁寧に解説している。著者自身がアクセサリショップやプロパンガスのセールスとして失敗した経験や、着物リサイクルや放置自転車処理のビジネスでの成功例を元に具体的なレベルまで説明している。

 

・小銭を稼ぐ方法はいくらでもある

  ポイントサイトでもアルバイトでもネットオークションでも現金は稼げる。「その気になればお金を稼ぐ方法ないくらでもある」という心持ちが大事。

 

・タネ銭を稼ぐ

  どんな方法でもタネ銭を作り出し、それを投資に回す。まずは勉強などの自己投資、広告や商品購入などお金を回していく。

 

・1割預金

 資産を作るためには当初は厳しくても「収入の1割を使わずに投資に回す」

 

・やらないことを明確に

 自分としてはやりたくないことを明確にしておく。「人を雇わない」、「会社は大きくしない」、「忙しくて儲からない仕事はしない」など。

 

・ビジネス選択の基準10のチェックポイント

 ① 売上を出しやすく利益を多く残せるか

 ② 資金の回転スピードは速いか

 ③ リピート性は高いか

 ④ 小資本で立ち上げられるか

 ⑤ 差別化できるか

 ⑥ コントロールできない要素を排除できるか

 ⑦ 人力に頼らず運営できるか

 ⑧ 集客はスムーズに行けるか

 ⑨ 市場規模は十分あるか

 ⑩ ビジネスモデルは確立できるか

 最終的には①に繋がるが、これらのチェックポイントの多くが当てはまらないなら「筋の悪いビジネス」で避けるべき。

 

・人は理屈では動かない

 人が抱く「騙されたくない」、「失敗したくない」、「損をしたくない」という不安はアクションを起こす障害となる。逆に商機にもなりうる。

 

・問題の認識レベルに合わせた売り方がある

 ①無知 「過体重が健康上問題」ということを知らない人には啓蒙活動から。

 ②無関心 「過体重が問題」と認識してても問題視しない人には売りにくい。

 ③問題認識 問題と認識している人には売りやすい。この層に訴える。

 ④痛み 「今すぐなんとかしなければ」という人には即売れる可能性がある。

 

・STP思考

 Segmentation(市場分野を明確にする)

 Targeting(どこをターゲットとするか)

 Positioninh(自分のポジショニングを明確にする)

 「どこの市場のどの顧客に何をどのようにうるか」という戦略。

 

・ビジネスはキャッシュポイントが命

 どこでキャッシュになるか、ポイントが多いと安定する。

 

・ビジネスで大切なのは「何を売るか」ではなく「どう集客するか」

 商材に意識が集中しがちだが、「どう集客するか」が最大のポイント。

 

・マスターすべきスキル

 マーケティング、セールス(コピーライティング)、顧客心理の理解。

「コモディティ性の高い商品であれば近くに高頻度で広告する」、「専門性の高い商品であれば低頻度でも広範囲に広告する」などターゲットにあったマーケティングとセールスが必要。

 

・一気に力をつけるためにはアウトプットを意識する

 特に初期はインプットに偏りがちだが、学んだことを実践し試すことで急速に成長できる。

 

・大部分の人は迷い続けている

 迷いから一歩抜け出して行動をするだけでその他大勢から抜け出せる。

 

【感想・考察】

 STPなどマーケティング理論の講習で習っても表面的な理解となってしまうが、著者自らの経験を元に臨場感を持って解説しているのでよく理解できた。さらに自分自身がビジネスを運営するようになればより深く理解できるのだろうが、まずは知識として知っておくことでリスクを減らし効率的に動けるのだろう。

 特に集客について、「よく調べずターゲッティングもせずに商売を始めることは魚群探知機なしで漁をするようなもので、趣味ならいいが家族を養う生業としてはありえない」というのはまさにその通りだと思う。ビジネスの世界に魚群探知機無しで入り込む愚をおかさないようマーケティングの経験は絶対に必要なのだろう。

 

 

プロの代筆屋による心を動かす魔法の文章術

【作者】

 中島泰成

 

【あらすじ・概要】

 ラブレターから謝罪文まで、代筆を生業とする著者による文章術の本。「伝わる文章」を書くための心構えを指南する。

 

・中学生でも理解できるように書く。難解な文章は相手を馬鹿にしている

・書くためには読むことが必要、良い文章をお手本にする

・何を伝えたいかを明確にする

・格好をつけずに自分をさらけ出す

・書かない勇気、できるだけ削除して一文を短く

・書きたいことを書くのではなく「読んでもらうために書く」

・推敲を重ね、余分を省いていくことで、わかりやすい文章にする

・分かってもらいたい「情熱」を、相手の立場に立って「冷静」に書く

 

【感想・考察】

 「相手に伝えたいことが明確になっていて、相手が理解しやすいようできるだけ平易な文章にする」ことができれば、「伝わる」文章が書けるし、相手の心を動かすことができるという主張。具体的なテクニックよりも「伝わる」ための心構えがメインとなっていた。

 自分が文章を書いていても上手くないなと思う。

 ・ブレまくって何を伝えたいのかわからない

 ・長く詰め込みすぎで理解しにくい

 ・読む人の立場で考えていない

とったところは、意識して改善していこう。

 

 

桜七(サクラナナ)

【作者】

 小野寺秀樹

 

【感想・考察】

 通信関係の企業に勤務している「鮫島」は、その会社に勤務する以前の記憶が失われ同じ会社に入った「坪井奈菜」に記憶の引っ掛かりを覚える。

 2018年7月20日9時48分、関東に強大な地震が発生。機能麻痺した東京で避難所に残る人、外部へ脱出する人に富士山の噴火による火山灰が追い打ちをかける。地震の直前に自分に与えられた使命が「坪井奈菜を守ること」だと思い出した鮫島は、奈菜と何人かの同僚とともに壊滅した東京を後にする。

 理性を失った同僚や、コントロールを失った暴徒に襲われ、途中で食料も尽きかけるが「休憩など死んでからいくらでもできる!心臓が動いているうちは死ぬ気で前進しろ!」と仲間と自分に発破をかけ進む。

 長野の実家に避難していた上司のもとに奈菜を送り届け、鮫島は奈菜から離れ元の場所に戻ることとなる。

 

【あらすじ・概要】

 大災害の描写から、鮫島の格闘シーンまでとにかく勢いがある。タイムパラドックスの話など説明が足りず理解できない部分が多い。また回収されない伏線も多々あり、じっくり考えようとすると消化不良を起こす。それでも文章の勢いで最後まで引っ張り、鮫島と寝てばかりいる奈菜の関係に心動かされた。

 未回収の伏線は、続編で回収されるのだろうか。。

 

さるでもできるKindle電子出版: 20冊以上のKindle本を出版した筆者が、KDPアカウントの登録方法から、キンドルに最適なファイル作成まで、電子出版に必要な情報をすべて公開!

【作者】

 海河童

 

【あらすじ・概要】

 Kindleで個人出版する方法について、Amazonへの登録方法からマーケティングまで細かく説明している。特に役に立った(あるいは今後役に立つかも)部分をぴくあっぷします。

 

・KDP(Kindle Direct Publishing)への登録方法

 相当細かい部分まで解説してくれている。本書を読むときは細かい操作部分は流し読みだが、実際に登録するときがあれば参考になるだろう。

 

・価格設定について

 「独占販売とするか否か」、」本の価格をいくらに設定するか」で35%と70%の2種類のロイヤリティーがあることを初めて知る。また Kindle Unlimited のサービスインで読まれたページ数による報酬も導入されている。本の種類やターゲット、ボリュームなどでとるべき戦略がそれぞれ違ってくるようだ。

 またキャンペーンによる値引きや無料期間の使い方も実例紹介している。この辺は頻繁に状況が変わりそうなので、実際に登録する段階で調べる必要があるだろう。

 

・登録用ファイルの編集

 テキストファイルやWord などから、ePub経由で mobiファイルに変換する方法、PowerPoint で表紙を作る方法、CSSの編集方法等を説明。このあたりは普通にPCを使っている人であれば問題ない部分だと思うが、躓きやすいポイントを実例で紹介しているので実際に登録する場合は役に立つかもしれない。

 「リンクは意図せず動作してしまわぬように敢えてむき出しのURLにしている」など具体的で実際にやらないと気付かないヒントもたくさんあった。

 

・コンテンツの作成

 中身は書きたいものを書くしかないが、「自分が持っている経験」とくに「ニッチでマニアックな興味」であれば、ある程度の読者が見込める。

 

・電子書籍の強み

 ①内容を常にアップデートできること。本書のようなノウハウ本は状況の変化に対応してもらえるとありがたい。ただ現行では重大な修正以外は、読者の能動的なダウンロードが必要。

 ②初期以外に販売のコストが掛からないので、ロングテールでの販売が期待できる。完全な成功報酬でプラットフォームを提供してもらえることはありがたい。

 ③リンクやメールなど、ネットと連動した仕組みを使える。読者登録による情報提供や、リンク活用による本文のデータ量削減、さらにリッチなコンテンツへの誘導など、紙の本では実現しにくい機能を使える。

 

【感想・考察】

 出版の敷居が圧倒的に低くなっていることが肌感覚で伝わってくる。

 PowerPointの操作説明などちょっと「冗長すぎる」ところも多々あったが、そういう部分が逆に「こんな簡単なことなら俺でもできる」的にハードルを下げる効果を出しているのかもしれない。

 価格設定について、「Kindle が読まれたページ数による報酬」という仕組みを導入していることは知っていたが、これを受けて作者側が「ページ数の水増し」を行うような流れができるのはイヤだ。「短くて内容が凝縮された本」が好きだ。

 自分自身で「本を出そう」という考えはなく、軽い気持ちで読んでみたが、何かやってみたい」という思いが出てきた。

 

日の名残り

【作者】

 カズオ・イシグロ

 

【あらすじ・概要】

 ダーリントン・ホールの執事として働く スティーブンス。 前の主人であったダーリントンが亡くなり、アメリカの実業家ファラディが新しい主人となる。スティーブンスは「アメリカンジョーク」を期待通りに返せないことに悩むような生真面目な執事だった。休暇をもらってイギリス内を自動車旅行し、華やかだった日々の回想や、品格とは何かについて思いを綴る。

 ダーリンとは、第一次世界大戦のあとにヴェルサイユ条約で重い賠償責任を負ったドイツの立場を「紳士的」な視点から救おうと動き、主要国への根回しを行う。スティーブンスは「歴史を動かす」ことに関われることに誇りを感じる。そのしばらく前にスティーブンスの父が倒れ、会議の最中に息を引き取るが、執事としての矜持で会議の成功に尽くす。

 今回の旅行では、かつて一緒に働いていた女中頭のミス・サントンと再開することも目的の一つだった。彼女は10年以上ダーリントンホールで働いた優秀な女中だったが、結婚して離れてしまった。復職の意思があるかを確かめるため彼女の住む街を目的地とする。彼女はスティーブンスの生真面目さを理解し頻繁にぶつかりながらも屋敷の運営にともに取り組んできた戦友でもあった。

 

 

【感想・考察】

 現代の日本人視点では「 執事」というのは「魔法使い」と同じようなファンタジーの住人という感じだが、英国ではまだ伝統を残しているのだろうか。社会の「クラス」を意識し、衆愚に陥る悪平等よりは「人徳」と「品格」のある「名士」が世界を動かすべき、という感覚はまだ残っているのかもしれない。

 主人公のスティーブンスは、ジョークがうまく言えないで悩んだり、歴史上の有名人と自分自身が対談したように話を盛ったり、やけに可愛く愛すべきキャラだが「品格」とは何か「忠義とは何か」について真剣に向かう様には心を動かされる。

  徳の高い「名士」が世界を動かしていく英国の伝統、まだまだ動けるけれど老境に入ったことも自覚しなければならない自分自身の姿、会えば当時の気持ちにすぐ戻れるがやはり決定的に離れてしまったサントンとの関係など、夕日が落ち行く前のような「名残の時」が寂しく温かい筆致で描かれている。

 

 

人間失格

【作者】

 太宰治

 

【あらすじ・概要】

 ある男の手記を見た小説家の記録として書かれる。3枚の写真を見て、幼いころの卑屈な笑顔、青年期の空虚な笑い、老年と思われる何の感情もない顔を見て、嫌悪感を覚える。

 田舎の裕福な家に生まれた「葉蔵」は幼いころから周囲の人間と普通に相対することができず「道化」の仮面を被って自分の心を隠し暮らしてきた。勉強などは労せずに良い成績を取れ、客観的に見ればうまくやっている少年だったが、内面では人の心が理解できない苦しみを抱えていた。

 長じて東京の学校に通うようになったが、徐々に身を持ち崩すようになる。世間を理解できない苦しさから、酒に逃げたり、共産主義の非合法な活動に安らぎを感じたりしたが幸せを感じることはできなかった。日々苦しさを感じ鬱々としていたが、女性に惚れられる体質で何人かの女性のもとに転がり込んで生活を続ける。

 そのうちの一人と心中を図るが自分だけが生き残り、自殺ほう助で逮捕される。結局は起訴猶予となるが、両親から離縁されさらに苦しい生活を送る。そんな中でも別の女性と暮らし始めるが、アルコールやモルヒネに耽溺し廃人同様となって精神病院に隔離される。 

 

【感想・考察】

 人間の心を理解できない人間のクズとして描かれる葉蔵。様々な女性とかかわりを持ち、自殺を繰り返す姿は作者本人の生き方を醒めた視線で見たものなのだろう。「人と対峙するのが怖い」という気持ちは理解できるし、幼少期の心情はそれほど特異なものではなかったのだと思う。裕福ゆえに図太い野蛮さがなく、繊細な感性と頭の良さから、世界を斜めに見るようになってしまったのだろう。

 「地に足の着いた図太さ」は生きる上で極めて強力な武器なのだと改めて思う。

 

平台がおまちかね 井辻智紀の業務日誌

【作者】

 大崎梢

 

【あらすじ・概要】

 大崎梢の書店にまつわるミステリー。書店員の立場から謎を解く「成風堂」シリーズから視点を変え、小規模出版社 明林書房の営業 井辻智紀を主人公とする5作の短編集。

 

・平台がおまちかね

 井辻は自社のある書籍の売れ行きが特に良いことに気づき、その書店に前任者から引き継いで初めて訪問する。その書店では平台積みで積極的に拡販展開しており、店長に感謝の意を伝えた。ところが店長は前任者がいなくなったことにショックを受け、井辻を冷たくあしらう。

 出版社営業と書店店主の数年前のすれ違いと、本を通したメッセージ。

 

・マドンナの憂鬱な棚

 出版社営業仲間からマドンナと慕われていた書店の女性店員が本をアレンジした棚に対し「つまらない、前の方がよかった」と言う男が現れ、女性店員は意気消沈する。井辻たち「マドンナの笑顔を守る会」のメンバーが真相を探る。

 

・贈呈式で会いましょう

 明林書房主催の表彰式当日、受賞者が会場に現れない。会場を訪れ謎の伝言を残した男を追い、受賞者に向けて仕掛けられた罠に気づく。井辻たちは受賞者とその指導者だった男の足跡を追う。

 

・絵本の神様

 初めて訪れた東北の書店が閉店していた。地方都市では経営難や後継者問題で店を閉じる書店が多いが、その店は特に絵本の品ぞろえで多くのファンをもち、閉店んを惜しむ声が多かった。

 書店を閉じるきっかけは後継者問題、経営難だけだったのか。店主の奥さんが店を閉じる寸前に言っていた「ハリーの隣も決まった」とはどういう意味なのか。

 

・ときめきのポップスター

 ポップスターといっても音楽ではなく、販促POPの出来栄えを競うコンペが書店店頭で行われた。各出版社が自社の本と他社の本1冊ずつを選んで販促POPを作り、最も売れ行きのよかった出版社の本が1か月間平台独占の権利を得る。

 ところが開催期間中、ある本だけ頻繁に位置をずらされてしまう。誰が何のためにそんなことをしているのか。「成風堂」の書店店員からの入れ知恵もあった?

 

【感想・考察】

 「成風堂」シリーズと比較してミステリ色は薄く謎自体は淡泊だが、書店や出版社の関係が細かく書かれており、出版の世界を垣間見るノンフィクション的な面白さがある。ひつじくんと呼ばれる井辻はまだ新人営業マンだが、仕事に対する姿勢は真摯そのもので好感を覚える。

 キャラクタがさわやかで人が死なないミステリはやはり良い。

 

 

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