Kennie の読書録

毎日1冊本を読み、記録を残したいと思います。

必要十分生活

【作者】

 たっく

 

【あらすじ・概要】

 必要最低限のモノだけで快適に暮らそうというミニマリストである作者が決めている、「自分ルール」を説明した本。

 気になった項目は以下の通り。

 

・机の上を運ぶ

 机の上にあるもの、パソコン、ペンから充電用ケーブルなど全てをカバンに入れ持ち運ぶ。席に着いたら、カバンにあるものは傘以外全て出す。自分がいなくなった後の机は完全に空っぽ。この方法であれば場所に縛られず完全に同じ環境を構築できる。

 

・買いだめは要らない

 今時はどんなものでもネットなどで気軽に補充ができる。なくなったときのために予備を用意するのではなく、なくなった時にちょうたつすればよいという考え方。ボールペンの予備を買うと保管場所が必要になるだけではなく、より気に入ったものが見つかっても買い替えにくいなどマイナスが多い、

 

・お風呂場は毎日洗う

 お風呂場にあるものは全て毎日洗うことで、気持ちいい清潔さを保てる。毎日洗うことを考えると、一つでもものが多いと年に365回余計に洗うことになり、必要でないものは置かないようにしようという気持ちになる。

 

・自分と相手の領域を区別する

 相手には相手の心地よいやり方があるので、自分の方法を押し付けてはいけない。共同生活をする相手とはきちんと話して合意を取り、お互いの領域だけを整えるようにすべきだ。

 

 その他にも、服や靴は3セットにしようとか、プリンタはいらないとか、本は電子化を活用しようとか、思い出の品はデジタルデータにしよう等の提言がされている。

 

【感想・考察】

 モノを必要最小限にしようというテーマの書籍はよくあるが、本自体も簡潔にまとめられミニマムだった。中でも「机の上を全て運ぶ」という思想は斬新だった。持ち物が増えてしまう懸念もあるが、そのように意識をしていれば無駄なものを持ち歩かないよう調整されていくのだろうか。試してみたいと思った。

 

スタンフォード式 最高の睡眠

【作者】

 西野 精治

 

【あらすじ・概要】

 スタンフォード大学の教授であり、睡眠研究の権威である著者が「より良い睡眠」について書いた書籍。

 私の印象に残ったのは以下のポイント。

 

・睡眠は量ではなく質

 もちろん十分な睡眠時間を確保することは大事だが、時間が短くても質の良い睡眠を取ることでパフォーマンスを上げることはできる。

 

・ショートスリーパーは遺伝で決まる

 訓練で誰もがショートスリーパーになれるわけではない。それぞれに最適な睡眠時間は決まっており、「眠りの借金」は健康を害し、覚醒時のパフォーマンスを落とす。

 

・眠りは最初の90分が重要

 最初の90のノンレム睡眠が充実して入れば高い質の睡眠が取れる。逆に最初の90分が快適でないと長く眠っても睡眠サイクルが乱れ十分な効果が望めない。最初の90分が「自律神経」を整える効果、「成長ホルモン」を分泌する効果、「脳のコンディション」を整える効果が最大になるタイミング。

 

・「眠りのスイッチ」は体温と脳

 表面の体温と深部体温の差は通常2度くらいだが、この差が開くと覚醒し縮まると眠たくなる。眠る前に手足が暖かくなるのは深部体温を逃そうとする働き。よく眠るためには眠る前に表面体温を上げ、血流を良くして反動として深部体温を下げるのが良い。具体的には眠る90分前の入浴などが最適だが、時間がなければ足湯などでも十分。

 脳は普段眠る時間の少し前には眠りに落ちにくい、就寝時間はできるだけ規則的にした方が眠りにつきやすい。また脳は「モノトナス(単調)」な状態で眠たくなる。いつもと変わりないルーチンにることが眠りに落ちるための好条件となる。

 

・日中の眠気と戦う

 会議中の眠さは退屈さも一因。積極的な発言は眠さを吹き飛ばす。ガムなどを噛むことは咀嚼自体の覚醒効果とガムの味による効果の両方が望める。定番だがカフェインの覚醒効果も効果的。

 

【感想・考察】

 著者の専門はナルコレプシー(突発的に睡眠に落ちる症状)の研究で、主に脳科学の分野から「眠りのスイッチ」、「覚醒のスイッチ」の研究をしていただけあり、科学的な見地からの説明が多い。一方で良い睡眠をとるために必要な具体的な対策についても述べられており、特に最初の90分に集中して環境を整えるというのは役に立つと思われる。いつでも眠いので睡眠改善は鞠躬の課題。。

 

マンガで分かる心療内科 アドラー心理学編

【作者】

 ソウ/ゆうきゆう

 

【あらすじ・概要】

 アドラー心理学の中心となる考え方を抽出し、ゆうき先生の解釈を加えわかりやすく説明している。項目として以下のポイントを挙げている。

 

 ・「原因論」ではなく「目的論」

  何かの原因で今の現象があるのではなく、何かの目的のために今の現象を選択している。例えば「過去に誰かにいじめられたトラウマで人との交流がうまくいかない」のではなく、「人と交流しないことで傷つくことを防げる」から「自分の意思」で「うまく交流できない」ことを選択している、という考え方。

 「原因論」であれば過去に起こったことに縛られてしまうが、「目的論」で考えれば、正しい目的設定ができれば、自分を変えることができる。

 

 ・感情には「目的」がある

  感情も目的のために自分が選択している。例えば「抑えがたい怒りの感情」というのは幻想で、「誰かを責めて優位に立ちたい」とか「怒鳴ってストレスを発散させたい」から怒りの感情を「意図的に」選択しているとする。

 

 ・劣等感はエネルギー

  劣等感と直接向き合わず「劣等コンプレックス」に陥ると、「自慢」や「嫉妬」など、成長に向かわない方向にエネルギーを使ってしまう。自らの「不完全さ」を認め、行動をしていくしかない、とする。

 

・人は対等

 褒めることは上から目線。褒めるのではなく、相手の良い面を見つめ、感謝の気持ちを「アイ・メッセージ」で自分の気持ちとして伝える。

 

・他者を信頼し貢献する

 人の悩みは全てが人間関係に依るものだとして、人間関係の中で重要な点として、「他者信頼」、「他者貢献」、「自己受容」を挙げている。

 自分は完全ではないし、他者もそれぞれ完全ではない、それぞれが問題を抱えながら成長しようとしていることを感じ、他者を信頼すること。また自己の存在意義は他者への貢献で自覚できること。他者信頼と他者貢献を通じ、人を心から信頼しその人の役に立っていると感じることで、自己を受容できるようになる。

 

・課題の分離

 「自分の課題」と「相手の課題」を分けて考えること。相手の課題を自分が抱え込んでは自分のためにも相手のためにもならない。また自分の課題に相手が立ち入ることも断固として拒否すべき。

 

・嫌わらても気にしない

 全ての人に認められることはできない。相手のためと思って行動しても受け入れない人も必ず一定数はいる。全ての人に対し八方美人になっていては誰に対しても貢献できない。一部の人には嫌われることになっても、自分が良いと信じた他者貢献は積極的にしていくべき。

 

・自分をレベルアップさせる

 ゆうき先生独自の解釈だが、他者から感謝を受けたり、人を幸せにしたぶんだけ自分が成長したと考え、ゲーム的に「レベルアップ」したと捉えることを提言している。性格を変えるのではなく、「ライフスタイル」を変え自分のできることで世界に貢献していくことが、自分の成長であるとする。

 

・大事なのは「今」、「ここ」

  様々な口実を作って今やるべきことをしないのは「人生の嘘」だとしている。「過去にこんなことがあったから今できない」とか、「どうせ将来はこうなるから、今しても意味がない」など、過去や未来に縛られるのではなく、今このときを全力で生きることが大事だとする。

 

【感想・考察】

 「嫌われる勇気」 を読み、アドラー心理学に興味を持ったが、理解しにくい部分もあったので、マンガで説明されている本書を読んでみた。この本はだいぶ前にも読んだことがあり今回は再読だが、非常によく理解できた。前回読んだときは「当たり前のこと」を当たり前に言っているだけとしか捉えられなかったが、別書籍で関心を深めアウトラインを把握してから読むと、段違いに頭に染み込んでくる。本の種類によるが、マンガの概説本は入門書として読むよりは、ある程度内容を把握した後のまとめとして読む方が有意義なのかもしれない。

 

 

エヴォリューションがーるず

【作者】

 草野 原々

 

【あらすじ・概要】

 進化をテーマとし古代生物を擬人化した「エヴォリューションがーるず」というソシャゲにはまり、生活の全てをつぎ込み課金に埋もれていった洋子が主人公。

 宇宙の始まりの描写から急にソシャゲの説明に移るが、ソシャゲをキーとした異世界転生もので最後にうまくまとめられている。

 宇宙はエントロピーを増大させ徐々に死にゆくもので、進化は結果の決まったチューリングゲームだが、魂という決定論を打ち破る「自由意志」をもたらす異質なものであるとみている。決定論は「自由意志」を課金ガチャが吸い上げる仕組みを作り上げたが、洋子は転生を繰り返し「自由意志」が打ち勝つ宇宙にたどり着く。

 

【感想・考察】

 宇宙の起源の描写にはかなりの知識があると思わせる。ソシャゲの仕組みもよく理解していて物語にうまく絡めている。「ソシャゲをテーマにしたアニメ」は完全に「けものフレンズ」のパクリだったり、最近の社会風俗を取り入れつつ、スケールの大きなSFとしてストーリをとめる筆力は素晴らしいと思う。

 キャラの描写には入り込みにくいし、グロい描写が多くて引く部分もあるが、斬新な作風で楽しめた。

 

 

東大生が書いた世界一やさしい株の教科書

【作者】

 東京大学投資クラブAgents

 

【あらすじ・概要】

 株式投資の入門知識を、大学生と先生の講義形式で解説していく本。

「そもそも株とはどういうものか」から始まり、株価変動の仕組み、投資対象の選定方法まで具体的に解説してく。

 まず株のメリットは、・配当・キャピタルゲイン・株主優待・議決権 等があるが、大きいのはキャピタルゲインであるとする。

 また、投資対象決定のための分析手法として、ファンダメンタル分析とテクニカル分析を説明している。ファンダメンタル分析は企業の財務状況や収益力などの「実力」を評価する手法、テクニカル分析は値動きなどのパターンから予測して対象を決める。

ファンダメンタル分析では、P/LやBSといった基本的なものから、PER(株主収益率)、PBR(株価資産倍率)、ROE(自己資本利益率)などの代表的な視点を紹介している。

テクニカル分析の知識として、上値の抵抗線や下値の支持線の見方、チャートのローソク足の意味などを紹介。原則的にはファンダメンタル分析を重視することを推奨しているが、基本的なテクニカル分析の手法は理解しておくべきというスタンス。

 株価を上下させる要因として、様々な経済指標や金利・為替の影響などを説明し、社会状況を広く知ることが株式投資に役立つし、裏返って株式投資について学ぶことで社会・経済について深く学ぶことができることから、株式投資を進めている。

 具体的な銘柄をいくつか挙げ、強み弱みを討議する中で説明した内容の復習となるよう構成している。最後にはいくつかのクイズ形式での出題もあり、初級レベルとはいえかなりの知識が身につく。

 

【感想・考察】

 ごく初歩的な内容から説明しているし、講師と生徒の会話をベースに進むので非常に読みやすいが、初心者に必要な項目を網羅している。これから株式投資を始めようという人にとって、この本だけでは不足があると思うが、ベースとなる考え方を身につけるために読んでおくとためになる本だと思う。

 

天久鷹央の推理カルテⅤー神秘のセラピスト

【作者】

 知念 実希人

 

【あらすじ・概要】

 天久鷹央シリーズの第5作となる短編集。

「雑踏の腐敗」:「人混みに入ると体が腐る」と訴える青年の話。田舎から出て姉と暮らす青年が渋谷の人混みで体が末端から腐ると言う。人混みを離れると症状がなくなるため、パニック障害によるものと診断されたが、鷹央は青年の訴えを真摯に受け取り診断する。

 

「永遠に美しく」:70歳を過ぎた女性が突然若返った。「気」を使い細胞を活性化させたという整体師のトリックを暴くと同時に、その女性の病気にも気づく。

 

「聖者の刻印」:2度にわたり白血病を再発した少女の母親は、骨髄移植による治療を拒む。母親は「預言者」の「骨髄移植を行わなければ必ず治る」という言葉を信じ、頑なに治療を認めない。鷹央は血の涙を流し、手のひらに十字架を浮かび上がらせる「聖蹟」のトリックを暴くため奔走する。

 

【感想・考察】

 最近この作者の作品を色々読んでいるが、このシリーズが最もラノベ的な軽さがある。医療モノとして医学知識を必ず組み込んでいてミステリとしても工夫されているが、相当デフォルメされたキャラたちの掛け合いを楽しむのが正しい読み方だろう。

 単純に楽しく読める作品だった。

 

魔法の色を知っているか? What Color is the Magic?

【作者】
 森 博嗣
 
【あらすじ・概要】
 「彼女は一人で歩くのか?」に続くWシリーズ2作目。
百数十年後の近未来で、人工細胞を取り入れた人間はほぼ死ぬことがなくなり、
同時にほぼ生殖することもなくなった。
 無機的な機械であったロボットが、有機的な体を持つ「ウォーカロン」に変わり
人間とウォーカロンの区別が極めて曖昧になってきた。
 前作での主人公でもあった ハギリ博士は人間とウォーカロンの識別をする装置の開発者であったが、
何物からか命を狙われ、日本政府の組織に守られる立場だった。
 ハギリは、生命工学に関するシンポジウムに参加するため、とある地区(おそらく今のチベット)に赴いたが、その会場でも何者かの襲撃を受ける。
 会場近くにある地域では、いまだ生殖能力を維持する民族が生き残っており、「生殖を阻害する何らかの原因」から逃れるため、隔離された生活をしていた。ハギリや一部の学者は「何らかの原因」が外部にあるのではなく、人間の不完全さが生殖を引き起こしており、「完全な細胞」である人工細胞を組み込んだ今の人類は、不完全さを失ったからこそ生殖能力を失ったとみていた。
 ハギリたちは襲撃を逃れその地区にたどり着いたが、そこでウォーカロンたちに仕組まれた安全装置に気づき、とある人物との接触を果たす。
 
 
【感想・考察】
 生命とは何かを問うSFとして読むと非常に面白い。人間の本質とは何か。人間の肉体が永遠性を手に入れたとして、人間の精神は永遠の時間に耐えられるのか、等々非常に興味深い問いを投げかけてきている。森博嗣氏の作品群の集大成といえるシリーズ。